■首吊り自殺を図ろうとするも…
生きることに疲れたオーヴェは、自宅で首吊り自殺を図ろうと決意。ところが、近所に引っ越してきたパルヴァネ(バハール・パルス)一家のおかげで自殺に失敗します。
その後、何度もオーヴェは自殺をしようとするのですが、その都度、パルヴァネや、町の人たちに阻まれ、生きていかざるをえなくなっていきます。そして、かつてオーヴェが過ごした妻との悲しい過去が明かされていくのですが…?
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■いつか神様の許可が下りるまで
本作では、ひとりぼっちだったオーヴェが、他者との触れあいで孤独ではなくなっていく様が描かれており、タイトルにもあるように、「1人」がクローズアップされています。
ですが、個人的には、「人は1人では生きていけない」といった他者と絆を結ぶことへの賛歌というより、「人は1人では死なせてもらえないんだなあ」と、しみじみ感じたのでした。
つまり、何度も自ら命を絶とうとしても、その度に失敗するオーヴェは、神様からそう簡単に死なせてもらえないのです。おそらくまだ生きてやるべきことがあって、そうしてそれをすべて完遂させてこそ、やっとあの世にいく許可が下りる。
そう考えると、いつか神様に、「よくここまで頑張ったね」と許可してもらえるまで、やるべきことをやっていこう、と静かな決意を促してくれる傑作だといえるでしょう。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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