おうちで映画三昧のススメ:『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
グザヴィエ・ドラン監督作品『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』から考える「自分のアイデンティティ」とは?
■自分のアイデンティティとは
つまり「ジョン・F・ドノヴァン」を通じてテーマのひとつになっているのは、「自分のアイデンティティ」だといえるでしょう。
人気俳優として、女性のパートナーを同行し、マスコミにも笑顔をふりまく「ジョン・F・ドノヴァン」。一方で、ひとりになると、同性愛者の集まる場所に出入りし、ウィル(クリス・ジルカ)という同性の恋人と結ばれる「ジョン・F・ドノヴァン」。
両方とも同じ「ジョン・F・ドノヴァン」ですが、ファンやマスコミの知る彼と、彼自身には、おそらくかなりの隔たりがあったのでしょう。
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■他者を知るということ
「本当の自分」と「周囲に見せる自分」。私たちが社会生活を送る上で、その2つの間には、ある程度の差があって当然です。
ですが、「本当の自分」がマイノリティに属する場合、「周囲に見せる自分」との差が大きくなるのは想像に難くありません。
その時、どの道を選ぶかで、人生は大きく変わっていきます。社会に溶け込むのか、「本当の自分」に従うのか。
前者なら、ゆっくりと「本当の自分」を殺して死に向かうことになりますし、後者なら、それなりに社会生活を送りやすい可能性はありますが、相当な覚悟が必要になります。
これほど「多様性」が世界中で叫ばれている昨今、「本当の自分」と社会が融合するには、「死と生」の二者択一でしか解決しないのでしょうか? それはけしてマイノリティだけでなく、私たちひとりひとりが向き合うはずの問題です。
孫子曰く、「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」。
いうなれば、他者や周囲、社会を知ってみると、「本当の自分」がわかる場合もあるということ。奇しくも「ジョン・F・ドノヴァン」は29歳でこの世を去りますが、大人になったルパートは、本作のラスト、オートバイに乗って去っていきます。
はたしてその行き先はどこなのか、思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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