おうちで映画三昧のススメ:『J・エドガー』はラブストーリーである
レオナルド・ディカプリオが初代FBI長官役を務めた『J・エドガー』は、伝記というより、ラブストーリーでは?
■人間の多面性を描く作品
謎多き「フーヴァー長官」の人生を、さまざまな角度から切り取り、「ジョン・エドガー・フーヴァー」という一人の男の多面性を描いたのが本作です。
メガホンを取ったのは、名優としても名高いクリント・イーストウッド。
本当に「J・エドガー」が、劇中で描かれるような人物であったかは定かではありませんが、イーストウッド監督は、「人間はだれでもいろいろな顔を持っている」ことをテーマにしているような気がします。
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■ある男の恋の軌跡を追ってみる
そういう意味では本作を、「ジョン・エドガー・フーヴァーの伝記」ととらえられるでしょう。主演のレオナルド・ディカプリオは、表の顔も裏の顔も持つ「J・エドガー」を、矛盾なく一人の人物として演じ切っており、さすが後のオスカー俳優となる片鱗を見事に見せています。
ですが、注目したいのは、「フーヴァー長官」としてよりも、「恋する一人の男」の部分。
後のFBI副長官になるクライド・トルソンとの初対面から、採用面接のシーンは、まさに圧巻。「これから恋がはじまる予感」をかもしだす雰囲気は、レオナルド・ディカプリオの演技もさることながら、なぜ「J・エドガー」ほどの男が惹かれたのかがわかるような、アーミー・ハマーのトルソンには説得力があります。
つまり「伝記」としても、「ラブストーリー」としても楽しめる本作。さまざまな顔を持つ男の、恋の軌跡を追う感覚で観てみると、また新たな発見があるでしょう。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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