敵が男性でもひるまず、互角に戦う強い女性。その姿に、「私もああなりたい!」と憧れたことはありませんか?
昨今の映画界でも、それは同じ。特にハリウッドでは、「戦う女性」を主人公にした物語が増えつつあり、大ヒットしています。
その「戦う女性」を裏で支えるのが、「スタントウーマン」。主にアクションシーンをこなす、身体能力抜群の女性たちです。
そんな彼女たちを捉えたドキュメンタリー映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』が、1月8日から公開になります。命を張った仕事に誇りを持ちながら、時に笑顔で、時に涙も見せる彼女たちから、どう生きるかのヒントをきっともらえるでしょう。
■「スタント」は「離れ技」
映画の中で、戦闘シーンやカーチェイスを描く時、俳優にかわって危険なアクションをこなす「スタントマン」という言葉は、耳にしたことがある人も多いはず。
例えば、ブラッド・ピットは、クエンティン・タランティーノ監督の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で、レオナルド・ディカプリオ演じる俳優の「スタントマン」役を演じ、昨年2020年の第92回アカデミー賞助演男優賞に輝いたのも記憶に新しいでしょう。
その「スタントマン」の「スタント(stunt)」は、本来「離れ技」の意ですが、「マン(man)」は「男性」を表します。ここからもわかるように、アクロバティックな離れ技は、もとは男性が多く担っていたのでした。
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■少数派の「戦いの歴史」
しかし、1960年代になると、アフリカ系アメリカ人のキング牧師の活躍がめざましくなったように、マイノリティ(少数派)の人々が声を上げるようになります。
そうした社会の流れに沿って、「スタントマン」の世界でも、徐々に「スタントウーマン」たちの活躍が増えていくのです。
つまり、「スタントウーマン」の歴史は、「戦いの歴史」ともいえるでしょう。それまで男性優位とされた世界に、女性やアフリカ系アメリカ人といった少数派の人々が、自分たちの力でその地位を「勝ち取っていった歴史」でもあるのです。