不動産会社を舞台に、田中圭さん演じる冴えない会社員・春田創一が、上司の部長・黒澤武蔵(吉田鋼太郎さん)と、エリート後輩・牧凌太(林遣都さん)から恋心を寄せられるラブコメディ『おっさんずラブ』。
2018年に連続ドラマ放送、翌年には映画化された本作の続編が、2024年1月5日から放送の『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)として帰ってきました。
本放送を前に、「おっさんたちの愛」の軌跡を振り返ってみましょう。
■「愛とは何か」を浮き彫りに
2018年の放送時は、春田さんをめぐる部長と牧くんの攻防が、本作がおもしろい要因の一つとなっていました。最後、春田さんは、どちらと結ばれるのか、毎週やきもきしながら見守っていたファンも多く、特に、林さん扮する牧くんの切ない表情と報われない思いに、涙するファンも続出したとか。
恋の三角関係は、ストーリー展開としておもしろいのは定石ですが、本作でそれをくり広げているのがおっさんたちな分、かえって「愛とは何か」といった本質的なテーマが浮き彫りになった印象です。
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■春田創一は本当に「ポンコツ」なのか
ところで、主人公の春田さんは、不動産会社の営業社員として働いていますが、特に成績がいいわけでもなく、合コンに参加しまくるもののモテるわけでもなく、母親と2人の実家暮らしで、「ポンコツ」という設定。
そんなポンコツな人物が、急に男性からモテ出すのは、若干唐突感が否めません。冒頭、初めて春田さんと会った牧くんも、泥酔する春田さんを「モテない」人だと見切っています。
ですが、単に春田さんは、「愛とは何か」を知らなかっただけなのでしょう。予想外にも、同性の部長と牧くんから好意を抱かれることで、その思いに真剣に向き合わざるをえなくなり、つまりは純粋に、「自分はだれを愛しているのか」を考える必要が出てきたのです。
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■自分の意思で選ぶ尊さ
それは、周囲に流されてばかりで、自分の意思で物事を決めた経験のなかった春田さんが、初めて自分自身で生き方を選択することを意味します。
人生は、選択の連続です。例えどんな選択をしたとしても、自分で選んだ道なら後悔はしないはず。他人に責任を押し付けたところで、必ずしも責任を取ってもらえるわけでもなく、自分で自分の責任を取ってこそ、生きる楽しみがあるといえるでしょう。
最後、春田さんは牧くんと結ばれますが、それは春田さんが、自分の意思で牧くんを選んだ証。おそらく私たちも含めて、みんなが春田さんに惹かれるのは、人生の迷子だった一人の男性が、自分で選ぶことの尊さに目覚めた姿に共感するからかもしれません。
続編では、春田さんと牧くんの新婚生活から幕を開けるそうですが、今度はどんな選択が待っているのでしょうか?
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)