■マイナー職人がメジャー化すると
そういう意味で、「スーパーヒーロー」に携わったことで、「マイナーから一気にメジャーへと躍り出た」感のあるライミ監督ですが、実は逆に、「マイナー作品を手がけていた職人気質の監督が、メジャー作品を料理するとこうなる」といった結果が、ライミ監督作品には垣間見えます。
それが一番顕著に現れているのが、2013年の『オズ はじまりの戦い』。
同作は、ライマン・フランク・ボームの小説を元に、映画化もされた有名な『オズの魔法使い』の前日譚で、詐欺師のオスカー(ジェームズ・フランコ)が、なぜ力のある魔法使い「オズ」として、人々から崇められるはめになったかを描いています。
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■「敵」の描き方が「えぐい」
製作も配給もディズニーで、ストーリー自体もすべてがメジャーな『オズ はじまりの戦い』。
魔法の国を舞台に、オズと戦う「敵」が登場するのは常套句ですが、その「敵」の描き方にひと癖あるのが、さすがライミ監督。一言でいうと、「敵」をそこまで描く? とつっこみたくなるくらい、「えぐい」のです。
子どもも観る作品ですから、全体が明るく、楽しい雰囲気に包まれていますが、時折見える「えぐい」部分に気づくと、かつてホラー映画で名を馳せたライミ監督の粋な本質に、にやりとするはずです。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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