おうちで映画三昧のススメ:同性愛者の権利向上に尽力した『ミルク』
男子シンクロ高飛び込み金メダリストの夫が脚本を手がけた、映画『ミルク』に見るLGBTの歴史
■ミルクを射殺したダン・ホワイト
ところで、ミルクを狙撃したダン・ホワイトは、その後の裁判で、7年の禁固刑を言い渡されました。
射殺した理由として、ホワイトが実はクローゼットゲイ(自分が同性愛者であるとは公表していない状態)だった、強烈なホモフォビア(同性愛嫌悪)だった、政治家として人気のあるミルクを逆恨みしていたなど、諸説あるようです。
いずれにせよ、その判決に納得のいかない人々が、特に同性愛者たちを中心に暴動を起こしたほど。結果、ホワイトは、5年服役した後、1985年に自殺しています。
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■「君たちは、何だってできる」
こうしたミルクの半生を、ガス・ヴァン・サント監督は、『ミルク』の中で、ほぼ忠実に再現しています。
個人的に一番衝撃だったのは、ミルクが政治家になる前に開いたカメラ店「カストロカメラ」が、襲撃されるシーンでした。
その襲撃された理由は、ミルクが「同性愛者だから」。ただ同性愛者だというだけで、名前も顔も知らないだれかから命を狙われる現実。それは少なからず、「マイノリティを攻撃する理由」のひとつとして存在しています。
同性愛者を公言したミルクは凶弾に倒れ、倒したホワイトは自ら命をたちました。
それから約40年経った今年、2021年。オリンピック金メダリストであるトーマス・デーリー選手は、自分がゲイであり、オリンピックチャンピオンだということを、誇りを持って言えると胸を張ります。そして、自身と同じLGBTの若者たちには、こんな言葉を伝えています。
「君たちは、何だってできるのです(you can achieve anything. )」
ミルクが目指した先は、ここで一つの実を結んだといえるのかもしれません。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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