おうちで映画三昧のススメ:『マイ・プライベート・アイダホ』
リヴァー・フェニックスの幻の作品『マイ・プライベート・アイダホ』で、報われない思いの行方を探る
■壮絶な告白シーン
やがてマイクとスコットは、幼いマイクを捨てた母親を探す旅に出かけるのですが、その旅の過程で、2人の関係は次第に変化していきます。
特に2人が、焚き火を見つめながら語り合うシーンは壮絶。そこでマイクが、スコットへの思いを告白するのですが、自身の性を売って生きるからこそ出てくる台詞は、あまりにも切なく響きます。
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■「いい1日を」ですべて報われる
実は本作を初めて観た時、息切れしそうなほど胸が締め付けられる思いで追っていたのですが、最後に登場するメッセージで、すべてが報われた気がしたのです。
それをハッピーエンドとするか、バッドエンドとするかは、賛否両論あるはずですが、この2年後にマイクを演じたリヴァー・フェニックスが亡くなることを考えると、そこには一種の報いがあるように思うのです。
23歳でこの世を去ったリヴァーは、志半ばだったに違いありません。そうした報われなかっただれかの思いは、その後に続くだれかをほんの少し笑顔にする。それだけで、報われることになるのではないでしょうか?
はたして、マイクのスコットへの思いはどうなるのか、2人の旅はどんな結末を迎えるのか。メガホンを取ったガス・ヴァン・サント監督が、本作で観客に最後に見せるのは、こんなメッセージです。
「Have a nice day.」(いい1日を)
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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