■「普通」とは何か?
本作のタイトルにある「まとも」は、「普通」と置き換えられますが、成田さん扮する大野は、「普通」を願うのに、「普通」がわからない迷子です。
かたや、その大野を「普通じゃない」とバッサリ切る香住は、大野に対して得意げにいろいろとアドバイスしますが、実はその知識はすべてSNSなどから得た情報のみ。つまり実践に至っては、大野に勝るとも劣らない、「普通じゃない」レベルなのです。
そんな2人のかけ合いを観ていると、次第に「『普通』って何だろう?」と疑問がわいてくるはず。成田さんも、「この役を演じて『普通』というものがなんなのか、わからなくなりました」と戸惑ったことを告白するほど。
そして、「そんなもの存在するのか、あるのなら無くなってしまえ、と思いました」とバッサリ。つまり私たちは、「普通」というルールを勝手に自分たちで作って、自分たち自身を不自由にしているのかもしれません。
関連記事:「普通にしているだけなのに…」 八方美人と言われない方法はある?
■製作は『婚前特急』の監督&脚本家コンビ
この「普通」をキーワードに、なかなか深遠なテーマを、キャッチ―に描いたのは、前田弘二監督と、脚本家・高田亮さんによる再タッグ。
吉高由里子さん演じる5人の男性と付き合っている主人公が、その中から結婚する相手を選ぶまでを描いた映画『婚前特急』を製作した名コンビです。
「2人のあったかい、いや、あったかい? つめたい? なんだかわからないけど愛おしいふたりの空気を吸ってみてください」と成田さんが笑うように、不器用な2人を、おもしろおかしくも、温かく見守る前田監督と高田さんの目線に、ほっとするでしょう。
・合わせて読みたい→ダブルデートは普通のデートでは得られないメリットがある!?
(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
- 2