不倫女性が払った慰謝料、不倫相手に半分請求できる?

一緒に不倫をした彼だって、同じくらい悪いのでは? 弁護士が解説します。

仲が悪い夫婦
(itakayuki/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

不倫をし、相手の奥さんから慰謝料を請求された──女性から、こういった相談をいただくことがあります。

そこで、「一緒に不倫をした彼だって、同じくらい悪いのでは?」「自分だけ慰謝料を支払うなんて、少しおかしいんじゃ?」と、意見をもらうことも少なくありません。

じつは、法律上もその通りで、一緒に不倫をした彼もまた、「本来は」慰謝料を支払う義務を負うのです。

しかし、実際の裁判では、不倫をした女性だけが訴えられてしまう場合があります。



■実際の裁判は?

例えば、ある夫婦の夫と女性Aさんが不倫したケースを考えてみましょう。

カンカンに怒った妻は、不倫相手のAさんに対して200万円の慰謝料請求をしてきました。

高額な慰謝料に驚いたAさんは、夫に対して少しお金を出して貰えないかと頼みに行きましたが、夫は知らないふり。それどころか、Aさんを見捨てて今まで通り妻と一緒に暮らしていくというのです。

Aさんも夫も半分ずつ悪いはずなのに、妻は夫には何の請求もせず、裁判では妻の要求がそのまま通ってしまい、結局Aさんは200万円を支払うことに。

こういった状況でも、判決が出たからには、Aさんは当然200万円の支払い義務を負うことになってしまいます。



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■彼にもお金を支払ってもらう方法

しかし、不倫は、ふたりでしてしまったものですから、上の例は不公平に思えます。

法律上、Aさんと夫は、妻に対して「共同」で「不法行為(=不倫)」を行ったことになりますので、本来はふたりで責任を取るべき性質のものです。

そこで、ふたりのうちの一方が自分の責任部分を超えて慰謝料を支払った場合は、もう一方に、その超えた部分を請求することができるようになっています。

これを「求償権」といいます。

つまり、妻に対し、Aさんが200万円の慰謝料全額を支払ったとき、不倫についてAさんと夫の責任が50:50といえる場合には、Aさんは夫に対して、半分の100万円分を請求することができるのです。


夫に対する請求ができることを前提に、妻と話し合いができれば、そもそもの妻からの慰謝料の請求金額を下げられる場合があります。

高額の慰謝料を請求されて困った、などの事態がもしも生じたら、一度専門家に相談してみることをお勧めします。

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(文/fumumu編集部・松下 真由美(弁護士)

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