『おっさんずラブ-リターンズ-』に見る「わたあめキス」の甘さで愛の力を知る

第4話放送目前! 『おっさんずラブ-リターンズ-』第1話~3話をプレイバック。


おっさんラブ
(画像は『おっさんずラブ-リターンズ-』Instagramより)

現在放送中のドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)。田中圭さん扮する「天空不動産」社員・春田創一が、後輩のエリート社員・牧凌太(林遣都さん)と新婚生活を送りはじめた新居へ、かつて春田に恋心を抱いていた元上司の「部長」こと黒澤武蔵(吉田鋼太郎さん)が、家政夫としてやってくるラブコメディです。

本作は、2018年に連続ドラマ放送、翌年に映画化された「不動産会社編」の続編。26日に第4話が放送されますが、その前に、これまでのおっさんたちの愛の軌跡をふり返ってみましょう。


■遠距離別居の末に

2018年版の『おっさんずラブ』では、春田さんをめぐる黒澤部長と牧くんの三角関係が主軸でした。やさしい分、他人に流されてばかりの「ポンコツ」だった春田さんでしたが、最終話では、ついに自分の牧くんへの思いに気づき、「俺と結婚してください!」と告白。2人は結ばれます。

その後、春田さんは上海に転勤になり、日本に帰ってきたと思ったら、2019年の劇場版のラストでは、今度は牧くんがシンガポール転勤となり、2人は遠距離別居に突入。そして2024年の本作では、牧くんがシンガポールから3年ぶりに帰国し、2人はやっといっしょに暮らす毎日をすごしているのです。


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■春田創一の「進化したポンコツ」

以前、2018年版では「ポンコツ」とされていた春田さんは、単に「愛とは何か」を知らなかっただけで、つまりは自分の意思で人生を選ぶ尊さに目覚めたのだ、と申し上げました。

あれから5年、係長に出世した春田さんですが、牧くんとの同居生活で、部屋を散らかすなど、家事については相変わらず「ポンコツ」のままです。だからこそ家事が万能の牧くんとケンカになり、家事代行を頼むことになるのですが、特筆すべきは、「対牧くん」には、一切「ポンコツ」な部分がなくなったところでしょう。

5年前は、牧くんからキスをされる度に動揺し、「やめろよ」と拒絶していたにもかかわらず、いまでは動揺するどころか、むしろ積極的に攻めていく姿勢がうかがえます。その姿は、自分の意思で人生という名の牧くんを選んだ結果、自信をつけた証ともいえます。春田さんは、愛を武器に、「ポンコツ」の名を返上したのかもしれません。



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■牧凌太の「自己肯定感の低さ」

一方、2018年版での林さん演じる牧くんは、高学歴エリートで、だれもがうらやむ「完璧」な青年ですが、実は恐ろしく自己肯定感の低い葛藤を抱えたキャラクターとして登場します。



黒澤部長の猛攻もあって、ライバル心に火がついたのか、積極的に春田さんに迫り、第5話では見事付き合うことに。それでも第6話では、自ら「春田さんのことなんか好きじゃない」と別れを選びます。それは、自分といっしょにいたら春田さんは幸せになれないと思ったから。春田さんを好きだからこそ、自ら身を引いたというのです。

こうした幸せに慣れていない牧くんの不器用さは、同性の男性と付き合ってきたマイノリティとしての過去が影響しているのでしょう。とはいえ、その部分を除いても、いざとなったら手に入れたものを自ら壊してしまう行為は、自分に対する自信のなさをうめるための自傷行為に似ています。


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■手に入れた「嫉妬」の感情

ところが、2024年版の『リターンズ』第3話での牧くんは、なんと「嫉妬」を身に付けていたのです。第2話ラスト、部下で、となりの家に住む和泉幸(井浦新さん)に、なぜか突然キスをされた春田さん。結局それは事故で、「部長」のおかげもあり、2人はお互いの気持ちを確かめ合うのですが、「俺も嫉妬しましたよ」とわたあめを食べていた牧くんは、春田さんにキスします。そして「甘」とつぶやくのです。



嫉妬できるということは、春田さんの自分に対する思いに確固たる自信があるからこそできるもの。嫉妬という苦い感情が、甘い結果に変わるのも、おそらく無意識に、「幸せになってはいけない」と自らに呪いをかけていた牧くんが、愛のおかげで、少しずつ自分を許すようになっている表れなのでしょう。

そして第4話では、和泉さんによる「事故キス」の本当の理由が明らかになるようですが、おっさんたちの愛の形は、どのように進化していくのか目が離せません。

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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ

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