ジャニー喜多川性加害問題で浮き彫りになった“マスメディアの沈黙” 元検事の弁護士「そういう時こそ必要なのは…」
元検事で弁護士の郷原信郎さんは、これまでのメディア報道に「それが出来なかったというのはメディア失格なんですよ」と苦言。
日本の元検事で弁護士の郷原信郎さんと元週刊朝日・編集長の山口一臣さんが対談するYouTubeチャンネル『郷原信郎の「日本の権力を斬る!」』が30日、動画を更新。
ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」がマスメディアへ提言した言葉をもとに、今後メディア側がすべきことについて語りました。
■調査報告書に書かれた「マスメディアの沈黙」
29日、ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」が会見を開き、ジャニー喜多川が60年以上に渡り、性加害を繰り返していたことが認められました。
被害の拡大を招いた要因として、ジャニー喜多川の姉・メリー氏の権力を振りかざした言動と同様に指摘されたのは「マスメディアの沈黙」。
ジャニーズ事務所に対しては「人権デュー・ディリジェンス(強制労働やハラスメント等の人権リスクや人権に対する負の影響がないかを特定し、そのリスクを分析・評価して適切な対策を策定)を実施するべき」「すみやかにメディアとのエンゲージメント(対話)を開始すべきである」と、メディアに対して2度と同様の性加害の発生を許さないと宣言すべきと指摘。
そしてメディアに対しては、“取引先”に対して「人権侵害が行われていないか」精査する必要性を述べています。
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■「それが出来なかったというのはメディア失格」
この提言に郷原さんは「ちょっと無理がある」といい、一般企業で“人権デュー・ディリジェンス”がそこまで定着していないこと、自分の会社の人権問題、長時間労働やセクハラ、パワハラの問題が中心になるため「取引先にまで…というところまではなかなか…」と実施する難しさを説明。
つづけて「“取引先として排除する”というややこしい話じゃない。報道する、ということ。メディアとして人権侵害を当たり前に報じなさい、ということ」「それが出来なかったというのはメディア失格なんですよ」と、報じるべきことが報じられていないことに苦言を呈しました。
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■“記者クラブ”のあるべき姿
元週刊朝日・編集長の山口一臣さんは「メディアがメディアとして第三者委員会を立ち上げて…」と提案すると、郷原さんは「そうそう、それが必要だと思うんですよ」と頷き、「本来は、記者クラブってそのためにあるんですよ」とコメント。
郷原さんは、例えばひとつのメディアが勇気を出し報じても(今回であれば)ジャニーズ事務所から排除され、大きな不利益を受けるとわかっていることは二の足を踏んでしまうのであろう…と理解を示しながらも、「必要な時にクラブを通して、メディア企業同士が『これは許せない』『団結しようじゃないか』ということを考えるべき」「ジャニーズ問題もそうだけど、色んな問題が同じ観点で考えられると思う」と提言しました。
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