2023年3月に入隊したナム・ジュヒョクの演技が光る『復讐の記憶』から日韓関係を考える
80代の老人の復讐を手助けする羽目になるナム・ジュヒョクが映える『復讐の記憶』が9月1日公開。
韓国の名優イ・ソンミンが、50代ながら80代の老人ピルジュに扮し、過去の復讐に乗り出す『復讐の記憶』が9月1日公開。
その手助けをすることになってしまう青年インギュを、2023年に入隊したナム・ジュヒョクが演じ、異色のバディものとしても楽しめますが、ピルジュの「復讐」にまつわる時代背景は、日韓の歴史と関係があるのです。これを機に、日韓関係について考えてみましょう。
■時代背景の変化
9月1日公開の『復讐の記憶(原題:Remember)』は、実は2015年のカナダ・ドイツ映画『手紙は憶えている(原題:Remember)』のリメイク版。アウシュビッツ収容所の生還者が、家族を殺したナチスに復讐するストーリーを、舞台を現代の韓国に移して展開する形になっています。
そうすると、『復讐の記憶』の主人公、80代の老人ピルジュ(イ・ソンミン)が復讐を果たすのは、日本統治時代に「日本人に取り入った」相手。その取り入った人間たちのせいで、ピルジュは理不尽な形で家族を亡くしていたからなのです。
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■「記憶」の捉え方
原題の『Remember』は、「覚えている」「記憶にとどめる」の意味になりますが、「復讐の記憶」として、ピルジュは復讐の相手を「会いたい人」と称し、その名前を刺青で体に刻んでいます。
同時にピルジュはアルツハイマー病を患っており、「自身の記憶」も薄れつつある状態。つまり反比例する「記憶」もテーマのひとつなのでしょう。
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■「記憶」が繋がる先に
本作の脚本・監督を手がけたイ・イルヒョンは、「この映画はタイトルが示す通り、ある男の記憶(Remember)についての物語であり、人間の人生にスポットを当てた作品です。ありそうもない二人の旅を通じて、これは現在の私たちにも繋がる話なのかということを考えてほしいと思います」と語っています。
現在の日本人は、K-POPや韓国ドラマを楽しみ、純粋に韓国に対して好感を抱いている人が多いでしょう。ですが、フィクションといえど、人生をかけた復讐に乗り出す韓国人が存在することも、覚えておく必要があるのかもしれません。
その中で、希望ともいえるのが、ナム・ジュヒョク扮するインギュの存在。自身がピルジュのせいで殺人犯にされながらも、ピルジュを放っておけない優しいインギュが説く「正しい生き方」は、国同士や、自身の中の過去と対峙する時、正論ながら救いになる気がするのです。
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『復讐の記憶』
9/1(⾦)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)