「死」を理解するには? 『いつかの君にもわかること』から考える
余命わずかなシングルファザーと、4歳の息子が探す家族の形とは? 『いつかの君にもわかること』が2月17日公開。
イギリスの俳優ジェームズ・ノートンが、死を宣告された父親役を務める『いつかの君にもわかること』が2月17日から公開。
亡くなった人を弔う仕事の民生係を主人公に据えた『おみおくりの作法』のウベルト・パゾリーニ監督が、今度は、残された人生を息子のために奔走する父親の視点から「死」を描くヒューマンドラマです。
人はだれでも「死」に向かって生きていますが、私たちは、その「死」を本当にわかることができているのでしょうか?
■1人残される息子のために
2月17日公開の『いつかの君にもわかること』は、ジェームズ・ノートン扮するシングルファザーのジョンが主人公。
33歳のジョンは窓ふき清掃員として生計を立てながら、4歳の息子マイケル(ダニエル・ラモント)を育てていますが、余命あとわずかの不治の病を患っています。
自分亡き後、ひとり残されてしまうマイケルのために、ジョンは、マイケルといっしょに暮らす新しい親を探すべく、何人もの候補と面会するのですが…?
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■いまできることをやれるだけ
本作は、ジョンがマイケルを連れて、とある家族と面会しているところからスタート。つまり冒頭から、ジョンにとって残された時間が少ないことがわかるのです。
ある意味、絶望的な状況からはじまりますが、物語は実に淡々と進みます。
ジョンがマイケルを連れて、何度も面談をくり返し、途中、迷いながらも、ただひたすら自分亡き後の息子のために、いまできることをやれるだけやろうとする姿勢が一貫して描かれています。
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■死をどう理解するか
ただ、4歳の子どもに、死と生を理解させようとするのはなかなか難しいもの。それでもジョンは、マイケルと公園で見つけた虫の亡骸で、魂と体、死についてわかりやすく説明します。
動かなくなった体だけが残り、話しかけても答えないのが「死」。それでも生きている私たちは、返事がないとわかっていても、亡くなった人に話しかけたりします。
それは月並みですが、魂は永遠で、「死」を迎えた人が常にそばで見守ってくれていて、自分もいつかその場所に行くのがわかっているからでしょう。
死に向かう父が、これからも生を続ける息子のために、どんな選択をするのでしょうか?
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)