ジョン・ローン『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(1985年):「イケオジ」作品のススメ
オーバー40男優「イケオジ」のススメ:ジョン・ローン。真の孤独を知る。
年を重ねるごとに、ますますかっこよくなるイケてるおじさま、「イケオジ」出演のおすすめ作をご紹介する本企画。
今回は、『ラストエンペラー』の公開を記念して、本作で清朝の『最後の皇帝』となった愛新覚羅溥儀を演じているジョン・ローンです!
■歴史に翻弄された『最後の皇帝』
『ラストエンペラー』は、20世紀初頭、中国清王朝最後の第12代皇帝として在位していた愛新覚羅溥儀の生涯を描いた1985年の作品。
1967年に生まれた溥儀は、1967年に61歳で亡くなるまで、歴史に翻弄された激動の人生を送りました。その自伝『わが半生』を元に、イタリアの名匠ベルナルド・ベルトルッチが監督、脚本を手がけ、1988年の第60回アカデミー賞で9部門に輝いた大作です。
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■孤児としての孤独
同作で溥儀に扮しているのが、ジョン・ローン。イギリス統治時代の香港で、1952年10月13日生まれとされていますが、詳細はあまり公表されていません。というのも、10歳で春秋戯劇学校に入学するまで、孤児として過酷な生活を送っていたからだそう。
その境遇もあってか、溥儀の孤独に共感できる部分も多かったのでしょう。ジョン・ローンの溥儀は、皇帝から一般人になったプロセスで、何ともいえない深みのある表情を見せています。
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■『辰年』のマフィア
そんなジョン・ローンは、2008年以降、俳優活動はしていないようですが、その深みのある演技は画面上では健在。『ラストエンペラー』の溥儀のような滋味あふれるキャラクターとは対照的に、冷酷なマフィアのボスを演じた『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(1985年)が、その深みを味わえる一番のオススメ作です。
同作は、ニューヨークの刑事スタンリー・ホワイト(ミッキー・ローク)と、ローン演じるチャイニーズマフィアのボス、ジョーイ・タイの抗争を描いた作品。かなりエグい暴力的なシーンが登場しますが、原作がロバート・デイリーという元現役のニューヨーク市警警察委員が書いた小説だけあって、非常にリアル。
無慈悲ながらも、どこか寂しそうな陰を見せるローンのジョーイ・タイもまた、真の「孤独」をよく知るキャラクターとして、観客の心に迫ってくるのです。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)