シルベスター・スタローン『ランボー』(1982年):「イケオジ」作品のススメ
オーバー40男優「イケオジ」のススメ:シルベスター・スタローン。「功罪」とは何か。
■ベトナム帰還兵が主人公
つまり『ロッキー』は、脚本、主演、時には監督も務めたスタローンにとって、スタローン自身が色濃く反映されている、まさにイチオシのおすすめにふさわしい作品です。
ですが、ここはあえて、スタローンのもう一つの代表作である『ランボー』(1982年)をチョイス。なぜなら同作は、ディヴィッド・マレルが1972年に発表した小説『一人だけの軍隊』を原作に、主人公のベトナム帰還兵ジョン・ランボーにスタローンが扮し、実写化したものだからです。
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■アメリカの功罪とは何か
ベトナム帰還兵を主人公にした作品は数多くありますが、『ランボー』がその中でも特に優れているのは、アクションの見事さと同時に、「ランボー」というキャラクターの輪郭が、きちんと表現されているから。スタローンといえばアクション、のイメージが先行しがちですが、なぜこの「ランボー」が、自分の身一つで敵の攻撃を潜り抜けていくのかが、次第にわかるようになっているのです。
ようするに、ランボーは、ロッキーと違って、実際の戦場を経験し、死と隣り合わせの世界を生き延びてきたプロの軍人。その生々しさが、スタローンの演技によってはっきりと伝わってくるのです。
ラスト、ランボーはこう言います。
「俺たちはアメリカを愛したのに、アメリカは俺たちを愛してくれなかった」
ベトナム帰還兵ならではの悲痛な叫びに、『ランボー』はただのアクション映画ではなく、ベトナム戦争という名のアメリカの功罪について、考えさせられるはずです。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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