ジョニー・デップ『ギルバート・グレイプ 』(1993年):「イケオジ」作品のススメ

オーバー40男優「イケオジ」のススメ:ジョニー・デップ。繊細さの表現。


■ナイーブな市井の青年

ジョニー・デップ
(引用:IMDb.com, Inc)

こうした実在の人物やアクの強いキャラクターは、ある意味、力技でこなせてしまえます。確かにデップは、アクの強い役を演じるのが得意な印象ですが、実は繊細な表現ができるからこそ。

その繊細さが最も発揮されているのが、『ギルバート・グレイプ』(1993年)です。

デップ扮するタイトル名通りのキャラクター、ギルバート・グレイプは、いわゆるヤングケアラーといえるでしょう。父の自殺が原因で、過食症を患う母、知的障害を持つ弟アーニー、ほかに2人の姉妹たちと暮らすギルバート。家族思いではあるものの、鬱屈した思いを抱えながら、家族を見捨てられないアンバランスさを抱えたデップの表現は見事です。

かなり古い作品で、アーニー役を演じたレオナルド・ディカプリオに注目が集まりがちですが、デップのナイーブな市井の青年が中心にいるため、人間の尊厳とは何かを思わず考えさせられる部分も。

ただ、何をもって幸せというのかは、どんな環境でも自分が選ぶのだと教えてくれる、デップの細かい表情に魅せられる名作です。

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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ

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