ジェラルド・バトラー『オペラ座の怪人』(2004年):「イケオジ」作品のススメ
オーバー40男優「イケオジ」のススメ:ジェラルド・バトラー。清白からの努力。
■努力家が行き着く先は
つまり、法を守る弁護士である「中の人」が、法を無視する殺し屋役を演じているだけで、かなりおもしろいのですが、バトラーの最大の魅力は、高い目標に至るまで、地道に努力するところだと思うのです。
弁護士にしても、演技の役にしても、ほんの数日で仕上げようと思ってもできません。その努力家の面が発揮された結果が、『オペラ座の怪人』(2004年)の怪人役でしょう。
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■例え悲劇的な結末を迎えても
本作は、作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーが、ガストン・ルルーによる同名小説を原作に、ミュージカル化した作品の映画版。フランスのパリ、オペラ座に棲みつく音楽の天才「怪人」が、ソプラノ歌手クリスティーヌに思いを寄せるものの、報われない悲哀を描いています。
この「怪人」役を務めたバトラーは、特に歌の経験がなく、練習を積み重ねてタイトルロールを演じ切ったのは有名な話。
実は個人的に、この映画版のほうが、ブロードウェイのミュージカル版をはるかに凌駕する感動をおぼえたのが、正直なところです。おそらくそれは、バトラーが本来持つ清白さのために、一から素直に本格的な歌唱に取り組んだ努力を、どこかで感じ取ったせいかもしれません。
ストーリー上、「怪人」の恋は悲しい結末を迎えますが、バトラー版「怪人」は、絶望の中に一縷の望みがあるような、不思議な安堵感があるのです。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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