おうちで映画三昧:「イケオジ」作品のススメ ㉝ホアキン・フェニックス
オーバー40男優「イケオジ」のススメ㉝ホアキン・フェニックス。狂気を解放する表現力
■賛否両論飛び交う悪役
そんなホアキンが、『カモン カモン』では、甥と心を通わせる等身大の大人の男性を演じているのは必見ですが、やはりホアキン一番のおすすめ出演作は、2019年の『ジョーカー』です。
「ジョーカー」は、DCコミックに登場するヴィラン(悪役)ですが、以前もご紹介したように、ジャレット・レトや、ジャック・ニコルソンなど、歴代の名優が演じ、ファンも多いキャラクターです。特にホアキンが演じた「ジョーカー」は、賛否両論飛び交ったとされています。
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■ダークな成長物語
確かに、本来の「ジョーカー」は、スマートでよく笑い、情のかけらもない印象ですが、ホアキン版「ジョーカー」は、まったくの真逆のタイプ。体の不自由な母の世話をしながら、派遣ピエロの仕事で細々と暮らす、情にあふれた青年なのです。
このやさしい青年が、なぜ「ジョーカー」になってしまうのか。そのプロセスは、あまりにも悲しく、でも説得力があり、ラスト、弱者として虐げられてきた青年の怒りが、狂気に変わるのは、ある意味「解放」を表すようで、不思議と嫌悪感を感じない仕上がりになっているのです。
おそらく往年の「ジョーカー」ファンにしたら、ホアキン版「ジョーカー」は、まさに「キャラ違い」になるのでしょうが、慈悲深い青年が、罪に手を染める「ダークな成長物語」として捉えることができます。事実、同作でホアキンは、アカデミー賞をはじめとする数々の主演男優賞受賞に輝き、「DCコミックのジョーカー」ではない、「ホアキン・フェニックスのジョーカー」を見事に表現しているといえるでしょう。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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