おうちで映画三昧のススメ:『男はつらいよ お帰り 寅さん』

自分の心の拠り所はどこか? 映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』から考える


■主人公は、寅さんの甥・満男

『お帰り 寅さん』では、会社員を辞めて、小説家になった寅さんの甥・満男(吉岡秀隆さん)が主人公となっています。

中学生の娘と二人暮らしの満夫が、亡くなった妻の七回忌の法要のために、故郷の葛飾柴又へ帰るところから物語はスタート。

そこで、寅さんの妹である母のさくら(倍賞千恵子さん)、父の博(前田吟さん)らと、「寅さん」の思い出を語り合うのですが…。



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■寅さんに学ぶ、「放浪の哲学」

ところで、昭和に活躍した放浪の詩人、金子光晴の『ニッパ椰子の唄』に、こんな一部があります。

“「かえらないことが最善だよ。」それは放浪の哲学。”

これに倣って、「かえらないのが『放浪の哲学』」であるならば、それは、「かえる場所」があるから成り立つもの。つまり、人は自分の「かえる場所」である「拠り所」があってこそ、さまよえるともいえます。

各地を転々としていた寅さんには、葛飾柴又の「くるまや」という「かえる場所」がありました。そこは寅さんにとって、物理的にも、精神的にも、「拠り所」なのでしょう。

心がさまよって不安になった時、自分の「拠り所」を思い出してみるのもひとつの手。目には見えなくても、すぐに行くことはできなくても、「かえる場所」があると思うだけで、自分は自由な存在だと気づけるはずです。

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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ

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