おうちで映画三昧のススメ:同性愛映画の金字塔『モーリス』
祝「レインボー・リール東京」開催! ジェームズ・アイボリー監督作品『モーリス』で禁断の美に酔う
■罪の象徴、オスカー・ワイルド
ここでおさえておきたいのは、舞台となっている「同性愛が禁止されていたイギリス」の時代背景です。
特に有名なのは、1895年に起きた「ワイルド裁判」でしょう。童話『幸福な王子』の作者として知られるオスカー・ワイルドが、同性の恋人アルフレッド・ダグラスの父親に告訴された事件です。結果、「同性愛は罪」だとされ、その後ワイルドは、2年間の投獄生活を送ることになりました。
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■「病気」が向かう未来
劇中でも、同性にしか好意を向けられないモーリスが、「僕は、オスカー・ワイルドのような人間なんです」と涙ながらに、精神科医に打ち明けるシーンが登場します。
当時、同性愛は「病気」とされ、モーリスは「同性愛を治す」ために、医師の「治療」を受けていたのでした。
実は初めて本作を観た時、このくだりの意味がまったくわからなかった私。時代背景を知らなかったせいもありますが、単純に「好きになった相手が同性だっただけで、なんで『犯罪者』になるんだ?」とものすごく疑問を抱いたのです。
人を思う気持ちに、正否はありません。相手が同性であろうと異性であろうと、同じこと。「コーヒーと紅茶、どちらが好きか」といった単なる嗜好の違いだと思うのです。
さて、クライブと別れて、同性愛者である自分を「治そうとした」モーリスは、最後、どんな道を選ぶのでしょう?
圧倒的な映像美と共に、その未来も予測できるかもしれません。ちなみに原作者フォスターは、『モーリス』の冒頭に、こんな言葉を掲げています。
「より幸福な年に捧ぐ(Dedicated to a Happier Year.)」と。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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