「僕…できないかも…」 結婚相談所で“仮交際”に進んだ彼からのカミングアウト 出した答えは…
マッチングアプリにどハマり中のモノマネ芸人・小出真保が、アプ活で出会った人とのアレコレを吐き出します。
リアルな体験談や心境をポップに時にダークに伝えていく『全力！ 女芸人小出真保の婚活ダイアリー』。
マッチングアプリデートを散々やってきた私に、電流が走るほどの相手が登場してしまいました。LINEを交換し家に帰り「今日はありがとうございました」LINEをするとすぐ既読がつき、御礼が返ってきてとっても幸せな気持ちに。しかし、まだ付き合っていないため、同時進行をしています、そんな婚活の世界。
今回は、結婚相談所で出会った仮交際のアメカジSくんと最後のデートをすることに。意外な展開が待っていました。
綺麗事だけど、みんな幸せになったらいいのになぁと、そう思ったお話です。
■楽しい「仮交際」
いきなり現れた理想的な彼に動揺し、理想的な彼に動揺し、ドキドキしっぱなしのデートとなった私。あれ？ これって恋か？ マッチングアプリでカジュアル遊びをしてきた私に、本命っぽい人が現れるなんて思ってもいませんでした。他人の恋物語なんてつまらないでしょうか？ でも、こんな気持ちになれることも生きててそうないのかもしれません。マッチングアプリに本当に感謝です。
にしても…恋したはずの彼からは、一切LINEが来ませんでした。2週間、3週間と来ません。あれ？ 電流が起きたのは私だけだったのか？ そんなはずはない…。なぜか気持ちを聞いてもいないのに確信に近いものがありました。「彼だって私を気になったはず」という謎の自信。
それに、もしダメでも「仮交際」まで進んでいる彼がいる、というそんな余裕な気持ちも少しはありました。私は「仮交際」というシステムをまだ味わってみたかったのです。今の自分にしかできない。この時はそう思っていましたし、友達や母親まで巻き込み「今、こんな人とマッチングしてるんだよ」なんて言う日々が楽しかったのです。
なので次は、結婚相談所で仮交際に進んでいるアメカジSくんとデートの予定を入れました。アメカジSくんとのデート日が決まっても、やっぱり本命っぽいあの彼からはLINEはなし。もしかしたら、やっぱり私の思い込みか？ 他の人に会っちゃうよ？ なんて独り言を言いつつ、あまりにも連絡がこないと体に走った電流も段々と薄れてきて、アメカジSくんと上手くいくならそれでもいいと思ってきました。
ですが、アメカジSくんとの3回目のデートは、ちょっと意外な展開だったのです…。
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■まだ言ってないことがある
デート当日。また小田急線の古着ゾーンに集合です。電車で向かう途中、いつもの想像をしました。アメカジSくんが旦那さんになっているところを。そうやって想像すると、襲うのはモヤモヤ。よくわからない違和感。今思えば、仮交際に進めた感謝と喜びはあっても、恋愛感情は生まれてはいなかった、だから違和感があったと、とてもシンプルなことでした。
待ち合わせ場所に、今回も早めに来てくれていました。購入した古着屋さんの袋を持っている姿は「なんだか、かわいい」と思いました。話はいつも弾むため、とても楽しい夕食の時間。結婚相談所で会った「そっか、そっか、そっか、そっか、そっか」と連発する女性の話、そっか、そっかをあえて言わせようとした話なんて、笑わせてもらいました。
お笑いは全くわからない、テレビも見ないというアメカジSくん。それでも「まほさん、もっと成功してほしい、売れてほしいと思ってる」なんて言っていただきとっても優しい人だと思いました。なのに…彼と話しているとき、なんだか罪悪感が襲っていました。やっぱり、あの人、あの電流が走った彼が、気になる。あの彼で頭が正直いっぱいなくせに、アメカジSくんと楽しく話している私ってなんなの？ と。
そして、話の内容は家族の話になりました。うちは三姉妹でどうのこうのとか、彼は一人っ子だけど両親とは仲良しなど、暖かい家庭で育った感じも垣間見えました。きっとこの人と結婚したら幸せといえば幸せなんだろうな。でも、私の心はやっぱりあの人。私がアメカジSくんを選んだら、あの人はどうなっちゃうんだろう？ そんなふうに思っていました。失礼なのはわかっています。ですが、私は、もう集中ができなくなっていました。
すると、当然、沈黙が訪れました。ん？ どうしたんだろう、アメカジSくんが今までに見たことない表情をしていました。それは初めて見るなんとも言い難い表情。
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■ちゃんとできないかも
この気配…なにかが起こる…。すると、彼が重い口を開き、話し出しました。
「じつは、ちょっと、まだ、言ってないことがあって」。待って、その切り出し方は、怖い。空気が一気に変わっていきました。そういえば今までマッチングアプリって3回目のデートで本性を現すパターンがあることを忘れていました。良い人だと思ってたら割り勘紛争で揉めた千葉男がそうでした。今回は、何？
アメカジSくん「まほさん。子供ほしいですよね？」
私「んーそうですね、年齢的にわからないですけど、いたら嬉しいですよね」
アメカジSくん「ちょっと、あの、僕、じつは…」
一体なにを言い出すのか。テレビ番組ならCMをまたぐことでしょう。そして、彼はカミングアウトしました。「あの、ちゃんとセックスできないかもしれません」。え、急にセックス？ どういうこと？ ちゃんとって何？ 「なんか…できないんですよね」。こんなにも良い人で面白くて素敵なのに。さっきと違う彼がいる。もしかして重い展開？ ひとまず、冷静になろう。
私「性欲がないってことですか？」
アメカジSくん「いや、あるけど…」
私「ちゃんとって？」
アメカジSくん「薬を飲まないとできないかも」
そう来たか。本当に深刻かもしれない。段々と私も真剣になってきました。ひとつひとつ丁寧に聞こう。性の問題はとても大切なこと。なので、全部言っちゃっていいですよ、と言うと、つまりこういうことでした。
彼は成人向けのアニメのイラストレーターを副業でやっているため、常にエロいことを考え、エロい絵を見ていることになります。そうなると、普段の性交渉ではあまり刺激的に感じなくなってしまい、女性に対してあまり興奮を覚えないということなのです。
「なので、ちょっとアブノーマルなことを彼女にやらせてみたくなったり…途中で中断して薬飲んだり。それで、今までみんな、別れてしまっている」。そうだったのか。色々と納得もしました。こんなにも良い人なのに、なかなかお見合いが進まない理由もわかったような気がしました。
率直に思ったことは「大変だな、どうしたらいいんだろう」と。本気でイラストの仕事をする彼を私はリスペクトしていましたし、何とかなったらいいのにと、そう思うしかありませんでした。
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■ただ、彼の幸せを祈るだけ
カミングアウトしてくれた彼を、私は、受け止められるのか？ 私は、そこまでこの人を愛せるのだろうか？ 彼のこの問題はそんなに大きな問題じゃないかもしれない。いつか簡単に解決できるかも。考えすぎなくて大丈夫だよ！ 前向きにいこう！ と、本当にそう思いましたし、心込めて伝えて、解散しました。
帰り道、「変な話してごめんね」とLINEが来ました。何も悪くないと伝え、それが最後となり、彼からはもう何もLINEが来なくなりました。きっと私の態度で悟ったんだと思います。あんなに仲良かったのに、一瞬で終わる関係。まだ付き合っていないとはいえ、同時進行って本当に正しいやり方なのだろうか？ 今でもわからない。
少しショックでした。カミングアウトの内容ではなくて、どうして神様はこうも人間に課題を与えてくるんだろう、スムーズにいかせてくれないのだろう。でも、アメカジSくんには、きっと良い人が現れる、絶対。ひたすら彼の幸せを祈ろうと思いました。出会ってくれたこと、デートしてくれたこと、本当に心から感謝しています。
こうなってくると、もう本命の彼、一択？ ついについにマッチングアプリを全てアンイストール？！ すると人生最後のモテ期、今までマッチングした男性たちから一気にお誘いが！ 乞うご期待♪
【小出真保】
太田プロ所属のものまねタレント。フジテレビ系で放送の『 ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』で優勝経験あり。aiko、優香、泉ピン子などものまねネタ多数。近年はナレーションなどの活動も積極的に行っている。
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（文／fumumu編集部・こいで まほ）