引っ越しを決める際、譲れない条件は人それぞれですが誰もが「快適に暮らしたい」という思いの元、新たな居住地を決めると言っても過言ではないでしょう。
しかし近日、中国・山東省の済南市にて女性らが「マンションに入居してから眩暈や耳鳴り、脱毛が止まらない」と訴える事件が発生。この異常事態に被害者が調査を行ったところ、信じられない事実が発覚したことがわかり話題を呼んでいます。
■引っ越したら体に不調が!
現地メディアの報道によると、今回被害に遭ったのは張(ちょう)さん及び彼女の友人二人の計3名。彼女たちはルームシェアをするため、リビング及び個室が3つある賃貸マンションを合同で借りたようで、便利な立地と素敵な内装にとても満足していたとのことです。
しかし、入居してから数週間が経った頃3人は髪の毛が抜ける症状、眩暈、頭痛、喉の傷みを感じるようになったのだそう。この怪奇現象を不審に思ったという張さんは、内見当時に感じたある「違和感」を振り返りました。
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■ある臭いの正体
友人と共にはじめてこの家を訪れた際、張さんは「ある臭い」が気になったのだそう。
その時「この臭いはなんですか? 建築材はちゃんと国や世界の基準をクリアしたものですか?」と問い合わせたものの仲介業者には「全く問題ないです」と一蹴されてしまったことを想い出した張さんは、その後建設に詳しい業者を呼び、現在住んでいる部屋に問題がないか調査を行います。
すると、屋内の「ホルムアルデヒド」「トルエン」「キシレン」が基準値を大幅に超えていることがわかりました。
注釈※「ホルムアルデヒド」:断熱発泡塗料・接着剤、建材から衣類、タバコの煙などにも含まれる物質。目の傷み、頭痛、吐き気などの原因になり、張さんらの症状は「シックハウス症候群」と呼ばれる。
「トルエン」:塗料を薄めて粘度を下げるために使用される薄め液。シンナー特有の臭気や中枢神経麻痺作用があるため、これを用いた作業にはマスクが必須と言われている。
「キシレン」:接着剤や塗料の溶剤などに用いられる。高濃度では喉や目に刺激をもたらし、酷い場合は頭痛やめまい、意識低下を引き起こすことも。
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■逆に違約金を請求される
調査の結果を受け取った張さんは、すぐさま仲介業者に連絡し、退居と既に支払った2か月分の家賃、及び敷金の返却を請求しました。
しかし張さんは「最初に3か月分の家賃を支払っており、約1か月間居住したので残りの2か月分は返してほしいという話をしたんですが、全く対応してくれないどころか、『当初の契約違反だから家賃の200%分の違約金を払え』と言われたんです」と訴えたほか「ホルムアルデヒドを除去する機械を送るから」と根本的解決とは程遠い提案をされたと明かしています。
現地メディアの記者がこの件について仲介業者に問い合わせたところ「現在返金処理しているところです」という返答があったようですが、未だに2か月分の家賃と敷金は返却されていないことから、トラブルは未解決のまま。新居探しの際に少しでも違和感を感じたら、どんなに条件が良くても一考することが大切なのかもしれません。
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(文/fumumu編集部・鳳 あゆ子)