イギリス、月28万円支給のベーシックインカム実験を開始 対象者は「ランダム」
イギリスで大規模なベーシックインカム制度の実験が開始。期間は2年にわたり…。
日本でも話題になりつつある「ベーシックインカム」。
「政府がすべての人に一律で現金を定期的に支給する制度」ですが、このほどイギリスではその実験が開始されたよう。『CNBC』など海外メディアが報じました。
■イギリスの2地域で実験
今回の試みは、首都ロンドンのイースト・フィンチリー、またイングランド北東部に当たるジャロー中心部の2地域が対象。ランダムに選ばれた地元市民が対象となり、期間は2年にかけて行なわれます。
この間、ベーシックインカム制度が対象者の生活にどう影響を及ぼすか調査され、支給されるグループのほか、支給されないグループも、別途で設けられるとのこと。
グループには、対面での質疑応答やアンケートが行なわれ、支給される側・されない側でどのような違いがあるのかを調べるといいます。
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■対象者は30名、約28万円が支給
対象人数は30名で、毎月支給される額は、日本円にすると約28万円相当(1,600ポンド)。2年間にわたる実験には、合計で約2億円(115万ポンド)の費用がかかると見積もられています。
この実験を支持する、研究機関、シンクタンク・オートノミーの研究責任者、ウィル・ストロング氏は、過去の研究結果を踏まえ「ベーシックインカム制度が貧困を緩和させ、何百万人の人々の幸福度を高める」と見解を示します。
また「気候変動や新たな自動化によって、今後数十年間は経済的なショックが続くと予想されるため、ベーシックインカムは将来的に生活を保障するための“重要な要素”になる」とも語っています。
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■過去の研究結果では…
ベーシックインカム制度は、ウィル氏が述べたように貧困緩和や幸福度上昇だけでなく「人々の仕事に対する考えかた」にまで影響を及ぼす可能性があるという情報もあるよう。
2022年に実施されたある調査では、アメリカ人の19%が支給によって「仕事への不満が軽減する」と回答した結果も明らかとなっています。
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■生産性の低下など懸念の声も
今後、AIがもたらす雇用への影響も踏まえ、ますますベーシックインカム制度の必要性の声が高まっている昨今。
またその一方で、制度にかかる多額の費用や、生産性の低下など懸念の声もあり、なかには「無条件で現金を受け取ることができれば、人々は働く意欲がなくなる」という声も上がっています。
シンクタンクは、今回の実験が制度導入への大きな手がかりになることを望んでいるといいます。
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(文/fumumu編集部・黒木 ゆず)