離婚のときにどうするか悩まない! 財産分与の基本ルール

話し合いがこじれがちな離婚時の財産分与について、弁護士が解説します。

離婚
(itakayuki/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

結婚したら、夫婦の間で特別な契約を結ばない限り、通常は、夫婦のお財布(家計)は一緒になります。

そうすると、離婚時には、結婚してからふたりで築いてきた夫婦の財産を、ふたりで分けるべきです。これを財産分与といいます。

しかし、具体的にどのように財産を分けるか、離婚の際には大きく揉めることがあります。なぜそうした問題が起きるのか、財産分与のルールから確認していきましょう。


■2分の1ルール

夫婦が婚姻中に築いた財産は、財産分与の際、原則として2分の1で分けます。例えば専業主婦と会社員でも、取り分は原則として2分の1ずつです。

夫婦の財産形成に対する寄与度や貢献度は、どちらも同じだけあるとみなされます。

ただし、経営者の夫が莫大な財産を築いた場合など、夫婦のどちらか一方の特別な才能や努力のおかげで、特別多くの夫婦の財産を築いた場合には、例外的に2分の1が修正されることもあります。


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■分けるのはどんな財産?

財産分与の対象になる財産は、不動産、預貯金、生命保険、退職金、株式などがあげられます。ただ、財産分与の対象になる財産は、婚姻中に築いた財産ですので、相続で得たお金や婚姻前の預貯金などの「特有財産」は対象外となります。

よく問題になるのが、子供名義の貯金です。子供名義の貯金でも中身は、「①親が自分たちの財産を子供名義の通帳に貯金している」「②子供が親戚からもらったお祝いのお金を貯めている」などがあります。

①は夫婦が婚姻中に築いた財産であり、財産分与の対象になります。しかし、②は、親と関係なく、子供が独自に有する財産と言えるため、財産分与の対象にはなりません。子供名義の預金は、財産分与の対象になるか判断する必要があります。


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■いつを基準とする?

財産分与の基準時は、夫婦の別居時となります。別居後は通常、夫婦が協力して生活して財産を形成することがなくなるためです。

ただ、別居時が明らかな場合は良いですが、離婚するまで同居しており、離婚に至って初めて別居となる場合や、単身赴任後に離婚することになった場合などは、いつを基準にするかについて、慎重な判断が必要になります。


財産分与にあたっては、実務上原則的なルールに従って財産を分けていく形になります。

離婚にあたっては、相手との関係も含め、お金に関してもきれいさっぱり清算したい、と思うのが通常だと思います。話し合いがこじれる前に、一度弁護士に相談してみても良いかもしれませんね。

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(文/fumumu編集部・松下 真由美(弁護士)

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