社会問題でもある「セクハラ」は、異性間の問題だけではなく、同性間でもセクハラ被害に遭っている人は少なくないようです。
平成25年12月、男女雇用機会均等法の施行規則の改正が公布されました。翌年4月に施行が開始されました。
この規則には「職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれるものであることを明示」とあります。
それまではセクハラが異性間で行なわれるものと考えられていたと思います。しかし、同性間の不快な言動も職場間でのセクハラに該当すると明示されました。これは画期的なことです。
■セクハラは2タイプある
男女雇用機会均等法は、セクハラを次のふたつに定義しています。
①対価型セクハラ…労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けること
例として、地位や権力を持つ上司が部下を風俗店に誘ったり、デートやホテルに行ったりすることを強要すること、過度なスキンシップ(従わない場合、労働者が職場内で冷遇される)等があります。
②環境型セクハラ…労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な影響が生じる等、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること
「結婚しないの?」「彼氏はいるの?」としつこく聞く等があります。
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■同性間のセクハラに遭った場合
ずっと我慢して職場に行っていると、心身に不調をきたし鬱病になってしまうこともあります。
上司や同僚のセクハラに耐えられないと思った場合は職場の相談窓口や人事部に相談してみてください。
しかしながら、男女雇用機会均等法の施行規則で『同性間のセクハラもセクハラに当たる』と明示されたとは言え、まだ理解が進んでいない会社もあります。
相談窓口がない、相談窓口に相談しても真摯に対応してくれるか不安と感じる場合等は、各都道府県の労働局・雇用機会均等室または弁護士に相談して見てください。職場に指導・勧告をしてもらえることがあります。
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(文/レイ法律事務所・森 伸恵(弁護士))