井浦新のアメリカ映画デビュー作『東京カウボーイ』 “溶け込む演技”が光る
井浦新さん演じる商社マンと生きる力をめぐる冒険に 『東京カウボーイ』が6月7日公開。
広大無辺の地では、人は自分に素直にならざるをえないのでしょうか?
6月7日から公開の『東京カウボーイ』では、東京からアメリカ・モンタナ州に渡った商社マン・ヒデキが、その答えを教えてくれます。
このヒデキに扮する井浦新さんと共に、忘れかけていた大事なものを思い出す旅に出かけてみましょう。
■東京の商社マン、本物のカウボーイに
6月7日公開の『東京カウボーイ』は、東京で働く効率第一主義の商社マン、サカイヒデキ(井浦さん)が主人公。
ヒデキは、経営悪化の道を辿るモンタナ州の牧場で、希少価値の高い和牛を飼育して収益を図ろうと、現地に飛びます。ところが、効率化を優先するヒデキの考えは、カウボーイたちとそりが合わず…?
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■「初めて」がもたらす最優秀
じつは井浦さんにとって、本作がアメリカ映画デビュー作。加えて、メガホンを取ったマーク・マリオット監督にとっても、長編劇場作品デビューになるのだとか。
まさに「はじめてづくし」のそろった『東京カウボーイ』は、世界中のインディペンデント映画が集うセドナ国際映画祭で、最優秀作品賞を受賞。
かつて日本に滞在し、山田洋次監督の撮影現場にも参加した経験のあるマリオット監督らしく、アメリカらしいドライさと、どこかなつかしい日本の情緒を含んだヒューマンドラマに仕上がっています。
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■色鮮やかな世界に一点の無彩色
特筆すべきは、ヒデキが徐々に変化していく様を、台詞なしで語る井浦さんの表現力。
東京でのヒデキは、グレーのスーツに身を包み、いかにも仕事のできる有能なビジネスマン然としています。ところがモンタナにやって来たばかりのヒデキは、同じスーツ姿でも、急に頼りなさげに。そう見えるのは、身長183cmの井浦さんが、ずっと背中を丸めた姿勢で演技をしているからなのでしょう。
同時に、色の対比も見事。モンタナの自然は、一面が鮮やかな色を帯びていますが、その中にグレーがぽつんとあるのは、そこ、つまりヒデキだけが、人工的な印象を与えます。
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■溶け込んで思い出す力
そのヒデキが、グレーのスーツを汚してしまい、貸してもらった青いカウボーイ服に着替えざるをえなくなるシーンは圧巻。元来は颯爽とランウェイを歩くモデル出身の井浦さんが、これまたおずおずと背中を丸めてカウボーイ服を見つめる姿は、微笑を禁じ得ません。
ですが、カウボーイになったヒデキは、次第に背筋の伸びた頼もしい姿になっていき、周囲のカウボーイたちと堂々と渡り合うように。それは自然の中に放り出されたヒデキが、本来持つ自身の生命力を思い出していくプロセスでもあります。
実は以前、取材で井浦さんにお会いしたのですが、一瞬で被写体としてカメラに収まる動作があまりにも自然で、思わず「おお…」と声が出てしまったことがありました。つまりその場に「溶け込む」のが上手な井浦さんが演じるヒデキだからこそ、広大無辺の地で、とまどいながらも自分を取り戻していく旅へ、いっしょに出かけたくなるのでしょう。
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『東京カウボーイ』
6月7日(金)YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次ロードショー
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)