死をもってしか解決策はないのか? 少年2人の愛を描く『シチリア・サマー』から考える
1980年、美しいイタリアで起きた悲劇の実話がモチーフの『シチリア・サマー』が11月23日公開。
イタリア・シチリア州で、1980年10月31日、25歳と15歳の男性2人が、手を繋いだ状態で亡くなっているのが発見されました。
同性愛関係だったとされるこの2人をモデルにした『シチリア・サマー』が11月23日より公開。本作から、LGBTI問題との向き合い方を考えてみましょう。
■1982年、イタリアの夏
11月23日公開の『シチリア・サマー』は、1982年夏のイタリア、シチリアを舞台に、惹かれ合う少年2人のラブストーリー。
偶然、バイク同士がぶつかった事故で出会った16歳のニーノ(ガブリエーレ・ピッツーロ)と、17歳のジャンニ(サムエーレ・セグレート)は、お互い特別な感情を抱くようになるのですが、その関係は、ある日突然終わりを迎え…?
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■モデルは実際に起きた事件
本作のモチーフになっているのが、1980年10月31日、イタリア、シチリア州のジャッレで起きた殺人事件だといわれています。当時、手を繋いだまま、頭を撃たれて亡くなっていたのは、25歳と15歳の男性。この事件は、LGBTIに関するイタリア最大の非営利団体「ARCIGAY(アルチゲイ)」の設立へつながったそうです。
イタリアでは、同性カップルに結婚に準じた権利を認める法が成立したのは、2016年ですから、1980年代当時は、同性愛者に対する風当たりが強かったのは、想像に難くありません。劇中、ニーノとジャンニの関係に気づいたそれぞれの家族は、懸命に2人を引き離そうとします。
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■人間が「完成」する時
とはいえ、2人はまだ十代の少年ですから、それぞれの親が取った行動は、親として当然とも考えられます。自分の子どもが、社会的に追いつめられるのがわかっていて、そのまま放っておく親は、まずいないでしょう。そうすると、結局は、2人が選ぶ結末として、悲劇は避けられなかったのかと、やるせない気持ちが残ります。
太宰治の『パンドラの匣』の中に、「人間は死に依って完成せられる」という言葉が出てきますが、自分または他人でも、人間の手を介して至る死は、自然に朽ちていく死と同じ「完成」になるのでしょうか?
ニーノとジャンニが選んだ方法の「答え」は、私たちがマイノリティと向き合う時、私たちそれぞれに委ねられているのです。
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『シチリア・サマー』
11/23(木・祝)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開
公式サイトはこちら!
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)