『最高の教師』最終回 今だからこそできた最高の結末に「それでも生きていいんだってメッセージ」の声も
最終回に暖かいメッセージが続々。 この夏、"最高の教師"が教えてくれたこととは。
23日放送のドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)の10話(最終回)「『変わらない』と諦める貴方へ」。
里奈を突き落とした犯人と夫、そして一度は自ら死を選んでしまった生徒にまつわる、ある共通点を浮き彫りにした最終回に、視聴者からは応援や絶賛の声が届いています(ネタバレを含みます)。
■犯人の正体
叶(芦田愛菜)の事件の真相がすべて明らかになった後、D組の生徒たちは誰に言われるでもなく、自然と叶の机に花を飾るように。また、叶の机に向かって大学合格の報告をするなど、それぞれが叶と向き合い続けていました。
そして、迎えた卒業式。里奈(松岡茉優)は、1年前に命を落とすことになった、新校舎の渡り廊下を訪れました。突き落とされるその一瞬の前に里奈が後ろを振り返ると、そこには星崎(奥平大兼)の姿が。危機一髪のところで阻止したものの、星崎は今回もやはり里奈を突き落とすつもりで来たのでした。
そして、星崎と話してわかったのは、こんなことをしようとしたのは恨みや愉快犯などではなく、どこまでも深い苦しみからだった、ということ。子供の頃に自分は”おかしい”ということに気付き、ずっと周囲に合わせて普通を演じてきた星崎は、周りに合わせようと自分を殺して我慢するあまり、いつしか何も感じないようになってしまっていました。
色を失った世界に諦めを感じていた時、里奈がクラスのみんなを次々に変えていく様を目にし、自分も変えてもらえるのではないかと期待。ところがいざ、クラスが変わっても自分だけが何ひとつ変わらない…。これからもこの色のない日々が続いていくのだと絶望した星崎は、自分が人をあやめてしまっても何も感じないのか試すために里奈を突き落とそうとしたのでした。
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■変わることを諦める前に
一緒に死ぬことを頼まれた里奈は、「それはできない。私が何でもするのは、生徒が変わるため。終わらせるためじゃない。それに私は死にたくない。」ときっぱりと断ります。続けて、しらけて何も変わらないと諦める前に、根拠や理屈がなくても笑われてもいいから、自分を信じて思いを伝えることに挑戦してほしいと伝えます。
ところが、里奈の言葉が理解はできても心が動かなかったことを嘆き、星崎は柵を越え飛び降りますが…里奈はギリギリのところで星崎の手を掴むも、諦めきった星崎は自分からは手を伸ばしません。
そこへ心配して駆けつけたD組のみんなを目にした星崎は、「色が付いてるわ、みんなに。変わったね」と嬉しそうな顔をするのでした。そして、里奈を探していた夫・蓮(松下洸平)によって星崎は助けられたのでした。
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■星崎と蓮、叶に共通した絶望
星崎が抱えていた、自分だけが何も感じない日々が続くことへの絶望は特別なことではありません。1周目で離婚したときの蓮も、同様のことを口にしていました。これからも変わらない毎日が続くことが怖くなった、と。そして、1周目の叶も、”この先ずっと誰かの大切な思いに応えられないかもしれない”と感じた瞬間に自分で死を選んでいました。
この3人に共通していたのは、”人と分かり合えないという孤独が続くことへの恐怖と絶望”。
誰かが事件を起こしたり自ら命を断つとき、環境や何らかの揉め事があったと考えがちですが、本人にしかわからない意外な理由があるのかもしれません。だからこそ推測で語ってはいけないという里奈の言葉は、より真実に近いのではないでしょうか。
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■視聴者を圧倒したストーリー
最終回を観た視聴者からは、思いのこもった声が寄せられました。
「先生に言われて、はいそうですかって感じじゃないのもよかった。分からないものは分からないし、人一倍変わろうと期待した星崎くんだったからこそ最後まで変われない自分に絶望したのかな、だからああいう選択になったのかな」「星崎くんにめちゃくちゃ共感。楽しみを見いだせない世界で生きる勇気を持つのは難しいよね。つらい、苦しいという負の感情と同じくらい人を追い詰める“虚しい”という感情を覆すのは、簡単な事じゃない」「星崎のような共感されにくい人物にフォーカスしてくれたドラマに感謝。親友はできなくても、みんなの気持ちに気付けなくても、それでも生きていいんだってメッセージだと思いたい」。
これまでは誰から見ても向かい風に立たされた人物を描くドラマが多かった中、一見問題がないように見える人物の闇や希死念慮に焦点を当てたのは、まさに多様性の時代だからできた学園ドラマと言えそうです。
孤独に対抗する一つの答えは、自分から変わること。蓮や2周目の叶がそうだったように、分かり合えないとやめてしまう前にまずは自分を信じて挑戦してみる。これが”命をかけて生き直した”里奈が、最も私たちに伝えたかったことなのかもしれません。
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(文/fumumu編集部・福野 エリカ)