『NHK紅白歌合戦』元責任者、ジャニー喜多川性加害問題に「そういうセンサーは持ち得ているべきだった」

元民放テレビ局員のひとりは、局内に“ジャニ担”という存在がおり「その人物以外、ジャニーズの話題に触れてはいけない」と振り返る言葉も。

NHK

11日放送の『クローズアップ現代』(NHK)では、2004年当時にNHK・民放で責任ある立場だったテレビ局員に取材した様子を紹介。

日本社会における人権意識の低さなどが露呈され、視聴者からも反響が寄せられています。


■NHK・民放、元テレビ局員40名に取材

先月29日に会見を開いた「再発防止特別チーム」は、ジャニー喜多川がおよそ60年もの間、性加害を繰り返していたことに姉・メリー氏の“徹底的な隠蔽”のほか、「自浄能力を発揮することなく、隠蔽体質を強化していった」と“マスメディアの沈黙”を指摘しています。

今回、同番組では「“ジャニーズ性加害”とメディア 被害にどう向き合うのか」と題し、NHKを含めテレビ局がなぜジャニーズの性加害問題に向き合ってこなかったのか、当時の局員40名に質問を投げかけました。


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■元番組プロデューサー「ペンかパンかの選択において…」

1999年、ジャニー喜多川の性加害について報じた『週刊文春』を名誉毀損で提訴したジャニー喜多川およびジャニーズ事務所。2003年には高裁判決で性加害が事実であると認定、翌年には高裁判決が確定しています。

同番組ではこの時期、テレビ局で責任ある立場だったNHK・民放の局員40名に取材。90年代から2000年代に民放でニュースや情報番組のプロデューサーを務めていた男性は、スポンサーなどへの配慮から放送で取り上げることはタブーだったと回顧。

「『ジャニーズに触れると、大事になる可能性があるからやり過ごしたほうがいい』というのは最初に言われていた」「それからは『これは扱えない』と瞬時に判断するようになった」と条件反射で判断していたこと、そこに疑問を持っていなかったと振り返ります。

「ペン(報道)かパン(利益)かの選択において、パンを優先してしまったのかもしれない」と明かし、「報道しなかった結果、今のような事態に至っているので、責任の一端はある」と語りました。


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■『紅白』元責任者「“猛省”という言葉は軽すぎる」

2004年当時、『NHK紅白歌合戦』などを統括する、歌謡・演芸番組部長だった男性は「大きな犯罪や事件と捉えなかった」といい、部内でも話題になることはなかったと回想。

「マスメディアも加担している」と言われることに、「責任を感じる。“猛省”という言葉は軽すぎるのかもしれない」「芸能部長になったわけですから、そういうセンサーは持ち得ているべきだった」と述べました。

また、元NHK関係者のなかには「裁判のことは知っていたが、出演の判断に影響を与えることはなかった」「売れているタレントをキャスティングしたかった」など、報道は知っていたものの問題視していなかったとの意見も多かったほか、「裁判を理由に『ジャニーズの起用をどうしようか』と言えば、『お前おかしいんじゃないの?』と言われるような時代だった」と、声をあげても懸案事項として話題にあがることはなかっただろう、との言葉も。

そのほか、民放の元テレビ局員は「この世界は、そういうものだと思っていた」との言葉や、局内に“ジャニ担”という御用聞きがいたと振り返った人は「その人物以外はジャニーズの話題に触れてはいけないし、マネージャーに電話すらできない状況だった」と答えています。


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■「元ジャニ担に取材してほしい」

今回の放送に視聴者は、「『この世界は、そういうものだと思っていた』 闇は極めて深い 被害者が男でも女でも 芸能界はそういうことがあるもと思っていたと 現場のプロデューサーレベルの人が 証言していることになる」「日本社会の人権意識の低さ、 ジャニーズ事務所がタブー扱いだったことペンよりもパンを選んだことが辛い」「初めて元ディレクターが顔を出して証言したのは評価する。NHKじゃなきゃ口火を切れなかっただろう。さらなる検証を期待」「今度はその元ジャニ担に取材してほしい。 忖度だけだったのか接待や金銭の授受はなかったのか」など反響が寄せられています。

同番組のキャスターを務める桑子真帆アナウンサーは「海外のメディアにできたことがなぜ、私たちは出来なかったのか」と、今後も検証をつづけることを伝えました。


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■執筆者プロフィール

冬野とまと:千葉で生まれ、千葉で育ったアラフォーライター。
高校在学中にアメリカへ短期留学したことをキッカケに、卒業後はニューヨークの大学に入るも中退。行動心理カウンセラーの資格ありだが、自分の行動が読めない。

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(文/fumumu編集部・冬野 とまと

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