コムドットの言動は“詐欺罪” 「メンシプ限定で動画公開」告知するも投稿せず
メンバーシップ限定で「動画は5月1日に公開」と伝えていたものの、6月に突入。これは詐欺罪にあたるのか…弁護士に聞きました。
先日、ユーチューバー・コレコレさんの生配信で明らかになった、男性5人組の人気ユーチューバー・コムドットの「メンバーシップ」問題。
メンバーシップ(月額料金を支払い、メンバー限定の特典を得られる制度)を開始し、日時を指定して「公開する」と伝えたものの、公開されないまま月は変わりました。
コレコレさんは「完全に詐欺行為」と話していましたが、実際にはどうなのでしょうか? 弁護士に聞きました。
■公開されないまま6月に
ことの発端は先月31日、コレコレさんの生配信。コムドットのファンだという男性は「コムドットから被害を受けた」と生電話で訴えました。
今年4月1日、月額500~700円の「メンバーシップ」を開始すると伝えたコムドット。26日には、メンバーのひとり、ゆうまさんが作詞した楽曲を発表。メンバーが楽曲を聞いている様子(リアクション動画)はメンバーシップ限定で配信とし「動画は5月1日に公開」と伝え、画面上にも「続きは5月1日メンバーシップにて」と表記されています。
この動画を見たかった男性はメンバーシップになりますが、5月31日時点で投稿されず。このとき、日付が変わるまで(6月に入るまで)40分ほどあったため、コレコレさんが「31日以内にあげろ」と声をあげるも、公開されることなく6月に突入。
またコムドットが5月10日に公開した動画内で、リーダーのやまとさんが「期待させておいてやらない、っていうのは一番人間の信頼を損なう瞬間らしくて。俺らって、約束破ったことはないからさ」(一部抜粋)と話していた場面もあったようで、男性は「言ってることと、やってることが違う」とこぼしました。
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■コムドットの言動は「詐欺罪」なのか
コレコレさんは「観たくて5月に入ったのに、5月中に配信されなかった。ただ500円を払ってしまっただけ。完全に詐欺行為だから」と話していましたが、コムドットの言動は実際に「詐欺罪」にあたるのでしょうか? 齋藤健博弁護士に伺いました。
齋藤:支払い、送金をしていれば「詐欺既遂罪」(犯罪が成立)、支払いをせずにやめることができていれば未遂罪です。
詐欺罪が成立するには、お金を募集した時点で、人をだます行為(欺く行為といいます)、消費者が錯誤(コンテンツの配信に対する信頼)錯誤に基づいてお金を送金する行為、ここまでが必要となります。
お金の募集をかけた時点で、コムドット側に「どんな準備があったのか」「どんな認識でいたのか」が重要になります。メンバーシップに対するコンテンツの準備をしておらず、しかもその準備をする意思もなかったのであれば「詐欺罪」が成立するでしょう。
――動画内で、男性も話していましたが「メンバーシップ用に新たに撮影する」というよりも、すでに撮影した動画のつづきのため「すでに撮影している動画を出すだけ」のようですが、おそらく「忘れていた」「忙しくて時間がなかった」などの言い訳が想像できます。こういった場合はどうでしょう?
齋藤:「忘れていた」ですと、結局対価をである配信をする意思がもともとなかったという方向に働きます。「忙しくて」も同様です。とくに大々的に5月1日は、と期限をうたってしまっているので、消費者はこれを合理的に信頼してしまっていると思います。
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■被害者は返金を求めるべき
ーー現段階で、コムドットが早急にやるべきことは?
齋藤:まず、遅延なのか、コンテンツ自体が提供できないのか、対価に対するサービスが今どんな状態にあるのかを説明しなければなりません。説明だけではなく、準備状況(単に遅れているだけなのかそうではないのかなど)なども、合理的に説明しなければなりません。
――この内容を見たくてメンバーシップになった人は返金はしてもらえるのでしょうか?
齋藤:契約解除・返金が可能かと思います。コムドット側となんらかの合意をしていれば別ですが、基本的に合意などを取り交わした書面などはないと思われますので、返金を求めることは十分あり得ると思います。
少なくとも現時点でもコンテンツがアップされていないのであれば、お金をお支払いした消費者側はなんらの対価の提供も受けていないことを意味しますので、むしろ返金を求めることが適切です。
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■集団起訴した場合
ーーまた、被害を訴えている人たちになかには「数名で訴えよう」と考えている人もみられます。
齋藤:集団的に訴訟をする方法をとることで、被害額を結集し、請求額を大きくすることができます。請求額が大きければ、コムドット側も真摯に対応しなければならないと認識し、誠実に追行することが想定されます。
のみならず、社会的関心の高さなどをアピールすることができるようになっていくので、メリットは大きいと思います。
デメリットとしては、各原告はそれぞれの被害の形が異なるので、いわゆる取り合いの形になってしまうリスクは生じます。
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男性が語った「言っていることとやっていることが違う」状態のコムドット。真摯な対応を期待したいですね。
【弁護士 齋藤健博】
自身のLINEIDを公開しており、初回相談はLINEで無料で行うことが可能な弁護士。セクハラや、浮気・不倫問題の解決に定評があり、過去には弁護士ドットコムのランキングトップに名を連ねた経験も。YouTubeではセクハラ時の対応に関する動画なども公開している。多くの被害者の悩みである「セクハラの線引き」や、「残すべき証拠」などを動画で分かりやすく伝えている。
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(文/fumumu編集部・長谷川 瞳)