キュリー夫人が発見した「ラジウム」から万物の表裏を考える
二度のノーベル賞受賞者の半生を描く『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』が10月14日公開。
「キュリー夫人」といえば、二度ノーベル賞を受賞した唯一の女性として、その名前を一度は耳にしたことのある方も多いでしょう。
あくまでもピエール・キュリーの妻として名の通っている「キュリー夫人」ですが、ポーランド出身の「マリ・スクウォドフスカ」という1人の女性に焦点をあてた映画『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』が10月14日から公開になります。
本作では、夫をサポートした献身的な妻というより、自立した戦う女性として描かれている「キュリー夫人」。その姿から、物事の見方について考えるヒントを探してみましょう。
■マリ・キュリーが誕生するまで
19世紀のパリ。マリ・スクウォドフスカ(ロザムンド・パイク)は、ソルボンヌ大学で研究を続けていましたが、女性であることと、ポーランド出身の移民であることから、差別を受け、思うように自分の研究を進められずに苦労していました。
そんな中、同僚の科学者ピエール・キュリー(サム・ライリー)と出会い、結婚。彼と共同研究を続け、ラジウムとポロニウムという新しい元素を発見します。その功績から、マリとピエールは、キュリー夫妻としてノーベル賞を受賞するのですが…?
関連記事:日向琴子のラブホテル現代紀行(19) 奈良『五條アイネ』
■研究者としてのキュリー夫人
キュリー夫妻が、放射能の研究で、ノーベル物理学賞を受賞したのは1903年のこと。一般的には、夫ピエールの研究を妻マリが支えたからこその受賞、といったイメージがあったようです。
ところが本作の中では、実はマリのほうがより情熱的に研究に取り組み、マリなくして受賞は無理だったように描かれている印象。その分、マリが女性であるというだけで、理不尽な差別を受けてはいるものの、研究者としては驚くほど真摯で純粋で、ひたすら探求を続ける「純然たる研究者」であったことが際立つのでしょう。
- 1
- 2