同性カップルの「パートナーシップ契約」どうすれば成立する?
法律上の婚姻と同じような効果があるカップルとしての契約について、弁護士が解説します
日本では現在、残念ながら同性カップルの法律上の婚姻は認められていません。しかしながら、同性カップルの方も、法律上の婚姻と同じような効果があるカップルとしての形を望まれることももちろんあると思います。
そこで近年、同性カップル間で行われるようになったのがパートナーシップ契約です。パートナーシップ契約にはいくつかの方式があります。
■覚書
覚書は、コピー紙やノートなどに「浮気はしません。もし浮気をしてしまっった場合には慰謝料●万円をパートナーに支払います」、「掃除は●●(パートナーの名前)の役目、ゴミ出しは●●の役目、洗濯は●●の役目にします」、「朝帰りは絶対にしません」などをメモ書きで約束する場合です。
メリットとしては、方式にとらわれず短時間で作れる点ですが、デメリットとして、裁判になった際に、裁判官に軽いメモ程度のものと認定され、書いた内容が本当に当事者の真意によるものか疑問を持たれることがあります。
関連記事:同性カップルが準備しておきたい「パートナーシップ契約」とは
■契約書
契約書は、「●●(以下、甲という)と●●(以下、乙という)は、両者間のパートナーシップについて、以下のとおり契約を締結します。第1条 契約の目的~、第2条 生活費の分担~、第3条 家事の役割分担~、第4条 約束事項(浮気の禁止など)、第5条 約束事項を破った場合の罰則、第6条 老後について~」と、契約の体裁を整えたものです。
契約書の形にしておけば、カップル間で裁判になった場合に、証拠として認められる可能性が高まります。
■公正証書
契約書を公証役場に持っていき、公証人に公文書化してもらいます。公証役場は全国に約300か所あり、どこの公証役場でも手続きができます。公正証書となった契約書は公証役場でも20年間保管してくれます。
メリットとしては、法律のプロである公証人が作ってくれるので、証拠として認められる可能性が高く、もし約束事項の違反があった場合には強制執行もできる点です。
デメリットとしては、時間も費用もかかること。公正証書作成代のほかに、法的に漏れがない契約書にしたい場合には、原案を弁護士に見てもらった方が良く、その場合は弁護士費用もかかってしまいます。
なお、覚書や契約書を作成する際には、作成日時の記入と、当事者の署名・押印を意外に忘れがちです。きちんと入れるようにしておきたいですね。
・合わせて読みたい→同性パートナーの浮気で破局…慰謝料を請求できる?
(文/森 伸恵(弁護士))