増える「専業主夫」意外な落とし穴…行政支援の差や複雑な問題も

専業主夫は5年で3倍に。しかし、行政支援について法整備がされていない現状もあるようです。弁護士が解説します。

専業主夫
(MIXA next/Thinkstock/写真はイメージです)

「働かずにだれかに養ってもらいたい!」と思うことは誰にもあるでしょう。

かといって、女性の場合、「結婚すればいいじゃない」といった意見を聞くことにうんざりしている人も多いはず。結婚をとるか、仕事をとるか。女性ならではの悩みともいえます。

しかし、だれかに扶養してもらいながら、家事や育児をして生活する、という生き方を選択するのは、今や女性だけではなくなってきているのです。



■専業主夫は3倍に

女性に仕事を任せ、家事や育児に従事する男性、いわゆる「専業主夫」は、女性の社会進出とともに増えてきています。

寿退社からの「専業主婦」という生き方を選択する女性は減少している一方で、「専業主夫」は、2005年から2010年の5年間で、2万人から6万人と、3倍に増加しました。

専業主夫は、家事や育児を担当する夫をいいます。

女性に仕事をさせるなんて、男の風上にも置けない! けしからん! と昔なら聞こえてきそうですが、働き方の多様化に伴い、家事や育児に専念する男性に、肯定的な意見も増えてきています。

「イクメン」という言葉が一般的になってきていることからも、このことを裏付けていますね。



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■父子家庭への行政支援に課題

専業主夫が離婚して、財産分与する場合、法律的には、主婦と同様に、パートナーの稼ぎで生活していても、家事育児等による夫婦の財産形成に寄与しているため、財産分与の請求権を当然得ることができます。

また、婚姻費用の分担も同様に、双方の年収により、多く稼いでいる妻が稼ぎの少ない夫へ、月々婚姻費用(生活費)を渡します。

ただ、配偶者が死亡した場合、父子家庭への行政支援は母子家庭に比べて乏しい実情があり、遺族厚生年金や遺族補償年金が支給されないなど、支援の差が問題になっています。


多様化する社会に応じて家族の形も変化していますが、性別にかかわらず、結婚をすれば家事を、子どもが生まれれば育児を協力しなければなりません。

夫婦どちらかに仕事を任せるとしても、ただ養ってもらうだけの生活というのは、なかなか成り立つものではありません。また、してもらったときには、お互い感謝の気持ちを持つことが大切です。

家事や育児の分担でのもめごとは、ときには離婚の原因にもなります。できるだけ、男性も女性も協力し合い、感謝と思いやりを忘れずに、暖かい家庭を作っていけるといいですね。

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(文/松下 真由美(弁護士)

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