まぶしくないピュアさがいい 『スキップとローファー』で心ほっこり
青春ラブストーリーに「ウッ」となる方にこそ、読んでいただきたい『スキップとローファー』。その魅力をお伝えします。
どんな方に『スキップとローファー』をおすすめしたいかな? うんうんと頭を悩ませてポンと出てきたイメージ像が、“キラキラ青春ラブストーリーが苦手な方”でした。
「漫画みたいなキラキラした高校生活なんてなかったわ」「人生いろいろありすぎて、もうピュアホワイトな青春ストーリーに共感できない」
そんな方にこそ読んでいただきたい『スキップとローファー』(講談社)。その魅力をお伝えします。
■『スキップとローファー』- 高松美咲さん
主人公は、岩倉美津未(いわくら みつみ)15歳。
石川県のはしっこから東京の高校に進学した美津未は、
とやる気をあふれさせながら、高校生活をスタートさせます。
けれど、初日から美津未の高校生活は失敗続き。
電車を間違え入学式に遅刻しそうになるわ、新入生代表で読むはずの原稿を鞄の中に忘れるわ、しまいには緊張と睡眠不足から吐き気を催し担任のおろしたてセットアップに口からキラキラしたものをプレゼントする始末。
そんなおっちょこちょいの美津未が、個性豊かなキャラクターたちと少しずつ親睦を深めながら、物語はまったりと進行します。
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■キラキラまぶし…くない「ピュアさ」
ピュアか、ピュアじゃないか。どちらかを選ぶのであれば、主人公の美津未は確実にピュアな子です。人を疑わず、目標には全力投球。美津未の内面を知った周囲の人は、みんな美津未のことを自然と好きになります。
ただ、「わ! ピュアすぎてまぶしい…!」とはならないのが美津未の不思議な魅力。
1巻ではゲロ(もう言ってしまいますが)を吐き、自己紹介では周りの期待値の上をいこうとしてドン引きされ、カラオケで歌うのはトコ次郎のマーチ(「とっとこ~走るよハ〇太郎~」の歌を想定していると思われます)。そう、美津未はどこかズレている。
沖に向かうために一生懸命に舟をこいでいるのに、なぜか力の限り浜に向かってオールを動かしている。美津未には、どこかそんな雰囲気があります。
だからこそ、読んでいるうちに「美津未! 向かうのはそっちじゃないと思うよ!」と無意識にアドバイスをしたくなる。ピュアな愛されキャラがイマイチ好きになれない方も、きっと「この子だったら、まぁいいか(笑)」といつの間にか頬がゆるんでいると思います。
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