アプリで交際した彼と別れの日…見せてきたのは“給与明細” その理由は…
マッチングアプリにどハマり中のモノマネ芸人・小出真保が、アプ活で出会った人とのアレコレを吐き出します。
リアルな体験談や心境をポップに時にダークに伝えていく『全力! 女芸人小出真保の婚活ダイアリー』。
優しいえびおくんはもう、そこにはいませんでした。どうやら私、嫌われたみたいです。本当に帰るしかありません。えびおくんの部屋を出ました。あんなにも喧嘩してあんなにもストレス溜まっていたのに、この別れを現実とは思いたくありませんでした。それでも…さようなら。えびおくん、ラスト回です。
■大失恋
家に帰って、大泣きしました。もしかしたら、人生初の大失恋かもしれません。今までの失恋とは「質」が違います。マッチングアプリで必死に会いまくってやっと出会えて大好きになった人、ついに結婚できるのかと思った人。年末には結婚するという約束したのに…「彼女ならいいけど結婚はちょっと」って、それはないだろう。
えびおくんの笑顔が、何度も頭のなかでフラッシュバックします。しんどい。私はまもなく40歳。世界でこんなに不幸な40歳いないんじゃないかとまで思ってしまうのが大失恋。忘れられるわけないと思いました。だってまだ大好き、ただただ好きなだけだったのに。やっぱりまた話し合いたい、会って説得したい。こんな状態だとどんどん相手は離れていくのに、今は冷静ではありません、止められるわけがない。1日寝込んで、すぐ電話してしまい、会いたいことを伝えると
「なんで会わなきゃダメなの? 用があるなら電話でよくない?」。こ、これが、えびおくん?! 180度人格が変わっている…。もしかして、幽霊でも取り憑かれてるんじゃない? そうやって他のせいにしたくなるのも、失恋あるある。とにかく冷たくあしらわれました。数日、布団のなかにいました。どうすれば上手くいったのか? 何が悪かったのか? 考えれば考えるほど、あぁ別れたんだなと現実が襲ってきて、また布団に丸まって大号泣の日々でした。
数日後、電話が鳴っていました。着信は「えびお」。心臓がドキン! きた…やっぱりえびおくんも別れたくないんだ! きっと後悔して連絡してきたんだ! と、興奮して電話に出ると「貸してる本、返してほしい」とだけ冷たく言われました。ガッカリしましたが、これはチャンスだ。もう一度会える。これが、最後のチャンスだ。
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■「好きだけじゃ上手くいかない」
本を返す日、約束の時間より数時間前に来て駅近のカフェでスタンバイしていました。そしていつものスマホ検索症候群。「復縁サイト」を見ながら作戦を立てます。ですが、朝からイヤな予感がしていました。なんだかもう、ここから巻き返すことはない気がする。イヤな予感、早速的中。LINEが来ていました、開くと、えびおくんから「ごめん、かなり遅れる」。
ああ、やっぱりな…。もう、私は彼女じゃないという低い温度が伝わってきました。えびおくんは2時間遅れて登場しました。本を渡しただけでは寂しすぎるのでお茶に誘ってみたら、そこは了承してくれました。ガッツリ冷たくできないのがえびおくんの特徴。だから、私もまだいけると思ってしまう…が、ファミレスに入って第一声。
「俺は別れたほうがいいと思う」やっぱり。心変わりなんてしてるわけがなかった。そして「まほちゃんといると、なんか気が緩んじゃう」「成長できないと思った」それ、また言うか? しかもそれ私のせいなのか? 腹立つところもあるけれど、でも、私はどうしても、えびおくんがいい。まだ、好きだから。
「好きだけじゃ上手くいかない」とバッサリ言われました。そして「上手くいかないなら、みんな離婚するべきだと思う」「最近は女の人も経済的に自立してるんだから、我慢なんてしなくていい、合わないなら離婚するべき」と、なぜか異様に、離婚、離婚、と連発していました。「まほちゃんは、我慢して離婚しないの?」と質問されました。どうしたというのだろう。
私は「そもそも結婚は大好きだからするのに離婚のことなんか考えない、この人とだったらなにがあっても乗り越えるって思える人と結婚する」と、真っ直ぐ伝えました。すると「調べたし計算もしたんだ」と、えびおくん。え、なにを?
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■「一旦」ってなに?
えびおくんが見せてきたのは、なんと、給料明細でした。「これじゃかなりカツカツの生活になるし」「ここから子供作ろうってなったらもっとかかるでしょ、都内で2人、3人で暮らすとなったら難しい、だからやっぱり無理だと思った」。はじめて見た、えびおくんの給料明細。その歳にしてはけっこう稼いでいると思うけれど…まぁ、私は芸人の世界にいてかなり麻痺しているためよくわからない。とにかく、えびおくんは立派に働いていると思う。私はなんとも言えない感情になりました。
ちゃんと考えてくれていたのはえびおくんのほうでした。マッチングアプリで会ったとはいえ、しっかり私といる将来を考えて、現実的にお金の計算をしてくれていました。そんなことをやってくれていたなんて今日まで知りませんでした。こんなにも向き合ってくれていたなんて。
「じゃあ、一旦別れるということで」「一旦、別れるから鍵も返して」合鍵…心の支えだった合鍵、さようなら。胸が引き裂かれそう。「一旦、別れる、もう帰るね」ちょっと、一旦ってなんだ? やけに引っかかる。一旦別れて、間を置いたら元に戻る、と思ってしまうからそういう思わせぶりなこと言わないでほしい。深い意味はないのかもしれないけれど。
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■楽しかった?
外に出て、ついにお別れとなりました。私からその場を離れることはできない。動くことができない。「俺は楽しかったけれどね、一緒にいたときは」意外なセリフを言ってくれました。そうなんだ、楽しかったんだ。自分は? 私は、楽しかった? 100%楽しかった、とは言えなかったのでは? すごく苦しかったように思う。でも、本当に大好きだった。
「じゃあ…」と、えびおくんは背中を向けて去っていきました。その背中をただただ立ち尽くし見ている私。遠く小さくなっていく彼。あぁ、終わったんだ、本当に。角を曲がろうとしたえびおくんは振り返りました。思わず手を振る私に、えびおくんも、つられるように振り返し、完全に見えなくなりました。
私は、もう即行動することに決めていました。よく、大失恋のあとに大展開が待っていて、スピード婚したとか聞くし! ここからが本当の私の人生だ! と、かなり無理しての再出発となりました。そう、私は、出戻りマッチングアプリをすることにしたのです。これがまたツライ。全っ然楽しくない。
でも、前を向くしかありません。私にはまだやりきっていないアプリがあったじゃないか。それはハイスペックたちが集うマッチングアプリTK。これをほぼやっていない。ここから始めよう。そして、開いてマッチングしたのは、年下の六本木の超大手車の会社の彼! きたきたー♡と思いきや、某カフェSを割り勘、そして、合コンを提案? 続く!
◆こいでまほ
太田プロ所属のものまねタレント。フジテレビ系で放送の『 ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』で優勝経験あり。
aiko、優香、泉ピン子などものまねネタ多数。近年はナレーションなどの活動も積極的に行っている。
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(文/fumumu編集部・こいで まほ)