彼氏が浮気…婚約中なら慰謝料請求も、どこからが「婚約」になる?
指輪を渡していなくても、婚約していると見なされる場合があります。婚約中の浮気と慰謝料請求について弁護士が解説。
2018/07/28 16:00
「浮気をして自分を捨てた彼氏に慰謝料を請求したい」と弁護士相談を受けることがあります。悔しい気持ちはわかります。しかし、法律的には、ただの交際では慰謝料を請求できません。
付き合っているだけでは、自由恋愛であって、お互いを縛る貞操義務などが生じないためです。慰謝料を請求するには婚約をしていたり、内縁関係にあったりなどの事情が必要です。
しかし、こちらがいくら「真剣に付き合って、結婚もするつもりだった」と主張したとしても、相手が「婚約したつもりはない、勘違いだ」としらばっくれることもあります。
裁判でも、実際に婚約関係にあったかどうかが争われます。では、具体的にどういった場合に婚約していたとみなされるのでしょうか。
■婚約とは?
婚約(婚姻予約)は、男女が将来に向けて結婚の約束をすることをいいます。
婚約は結婚を強制することはできませんが、婚約を不当に破棄された場合に慰謝料を請求することは認められています。
婚約には、とくに決まった方式はなく、口約束でも成立します。夜景の見えるレストランで給料3か月分の指輪を渡すようなプロポーズをされなくても、相手の「結婚しようね」に「うん」と答えた時点で婚約は成立します。
ただし、相手と性的関係を結ぶ前後の甘い雰囲気の中で「結婚しようね」は、真剣に婚約を申し込んだと認められにくいです。結婚に向けた真摯な約束ではないと判断されることが多いためです。
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■婚約指輪がなくても
婚約指輪を受け取った事実は、相手が「婚約したつもりはない」としらばっくれたとしても、大きな意味を持ちます。外から見て「婚約している」とわかる場合は、裁判で認められやすいです。
しかし、日本では、指輪を取り交わさない婚約も一般的になってきています。具体的には、以下のような事情を総合的に考慮して、婚約の有無を判断することになります。
【婚約したかどうかの判断材料】
・婚約指輪や結婚指輪を渡した
・結納の日取りを決めたり、結納を済ませたりした
・式場を見に行くなど、結婚式に向けた具体的準備や予定を進めていた
・同居する部屋を探すなど、共同生活に向けた具体的準備や予定を進めていた
・継続的な性的関係があり、妊娠や出産に至った
・互いの両親や親族に結婚することを挨拶した
・知人や友人に結婚することを説明した
・結婚相談所、紹介業、『婚活』と題するイベントなど、『結婚』に向けた出会いであった
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(文/松下 真由美(弁護士))