「男の人が満足すれば十分だと思ってた」 衝撃を受けた友人の話

アダルト業界の作り手側で働く女・るいが、無限に広がる「性」の世界…ファンタジーを通して見る「リアルな性」の話を、本音でお伝えしていきます。

■タブー視によって得られるものとは?

この話を聞いたとき、「性の話とは、一般の人にとってそれほどまでにハードルが高いのか」と私は衝撃を受けました。きっと彼女にとっては、性の話とはタブーで、性の悩みとは「下ネタ」と嘲笑されるものだと思って20数年間生きてきたのだと思います。

事実、そういった場面に直面したこともあったのでしょう。私に近い存在でそんなことが起きているのなら、より広い世間一般ではもっと忌避する風潮が強く、話すことも、ままならない人が多いのだろうと推測されました。

本当にそれでいいのでしょうか? 話せば少しでも解決する問題が、風潮によって解決できないというのはとても悲しいことで、とても生産的でない、と私は強く感じました。

風潮というのはなかなか強いもので、一人が変えようと思ってもなかなか変えられるものでもありません。しかしながら、誰かが声を上げることによって、少しずつ少しずつ変えていければな、とその時に改めて思ったのです。それがこちらの連載に「本音で性の話がしたい」というタイトルをつけさせていただいたきっかけの一つでもあります。


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■アダルト業界関係者として

ここまで色々と書いてきたのですが、じつは私自身は自分から性の話題をあまり出さないようにしています。理由はいくつかあるのですが、一番大きいところでは、性について話したくない人が「でもるいは業界の人で、性のこと話したいんだろうから合わせなきゃ…」と思ってしまうのでは? という懸念があるからです。無理やりに性の話を聞き出されることは、セクハラ以外の何物でもありません。

私が女であって、たとえ相手が同性であろうと、仕事柄「性の話題を出すこと」そのものがセクハラになりやすいことは常に意識しています。「アダルト業界関係者にセクハラされた」というのはかなりセンシティブで、心象の良くない出来事です。業界関係者として「自分の中の性に対する感覚が一般の方とはきっとずれている」という自覚を持っておく、この心がけは作品を作る上でも大切にしています。

冒頭に書いたように、私自身は性の話を積極的にしていきたいので、正直とても歯がゆく思う部分もあります。ですが、タブーを少しでも軽くしていくために、業界関係者として私自身の行動も大事なのだ、と考えて今のスタンスに至っています。

その分、少しでも性を話しやすくする種をまいていくことが、私の使命の一つだと思っています。読んでくださった皆様が、この連載を踏み台にして性について話すきっかけになれば、この連載が「喋り場」になれば、それが私の本望です。

まずは話しやすい仲間内から、少しでも性について話すことが始まれば嬉しいです。

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(文/fumumu編集部・るい

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