性の常識はどこからきた!? 『来世ではちゃんとします』と辿る、性の歴史
性にまつわる映画や書籍を紹介するシリーズ第二弾は、女優・内田理央さん主演で多くの反響が寄せられているドラマ『来世ではちゃんとします』をお届けします!
■「えっちなのはだめ」っていつから?
というわけで、こんな本を読んでみました。白田秀彰さんの『性表現規制の文化史』(亜紀書房、2017)です。
「えっちなのはいけない」ということを私たちが素直に受け入れてしまう理由について、様々な文献から紐解いている本です。
本の中心は世界の性表現についてなのですが、一部日本についての記述もあります。
それによると、古代では女性器を「美しく優れたもの」につける「み」や「ほ」の接頭語とをつけて「御秀処(みほと)」と呼んでおり、神秘的な生産力の源泉といわれたそうです(すごい…とても美しい印象の名前ですね)。
次に近世、江戸時代においては、幕府が統治のために「家父長制」を確立し、長男を産むまでの女性を管理するようになったそう。有力な一族については、厳格な結婚の規則が導入されました(徐々に現代まで影響が残る価値観が登場してきました…)。
ですがそんな江戸時代でも、春画などの性表現そのものがNGなのではなく、「性に溺れてはいけないから、あんまり過剰なのはやめようね」というくらいだったようです。なので庶民層では忌避感なく、おおらかに楽しみとして受け入れていたそうです。
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■振れ幅がすごい、日本の性
そんな日本のおおらかな性が大きく変わったのは、やはり明治維新の後。
近代国家として欧米諸国に認めてもらおうと、西洋の法律や制度を積極的に取り入れました。西洋の法制度はキリスト教の道徳を下敷きにしていたことから、価値観も同時に流れ込むこととなったんですね(キリスト教はすごくざっくりいうと「生殖を目的としない性は害悪」という考えを持っています)。
そこから春画を禁圧し、性器をかたどった信仰対象物が破壊没収され…うんぬん…現代に至るということだそうです(「美しいもの」としていたところからから「わいせつ!破壊!」の振れ幅がすごいな!!)
つまり、私たちが今「ちゃんとしている」と思っていることなんて、時の権力者によってよきように「常識」が決められてきた結果に過ぎないのかもしれませんね。
「性的なものはタブー」という価値観がいつの間にやら私たちに浸透していたからこそ、性にまつわる苦楽を率直に描いている「来世ではちゃんとします」は革新的なのかもしれませんね…!
■人の性をジャッジするべからず?!
さてさて、性の歴史を辿ってみましたが、いかがでしたか?
私は全部ひっくるめて、このドラマのように、他人の性の価値観をジャッジしない姿勢って大事だなと思いました。
だって「30歳にもなってセックスの経験がないなんてやばくない?」や「経験人数多すぎる人って引くわ」「そろそろ結婚しなよ」という価値観自体が、人間の歴史をみると意図的に作られたものにすぎないし、そう考えるとその価値観に当てはまらない人がいるのは、普通のことなのだから。
iroha広報をしていても、性のお悩みで「私って変なのかな」「劣っているんじゃないかな」と聞くと胸が痛くなります。私も世間の「常識」が迫ってきて落ち込むこともありますが、そんなときは「うるせー!!! 歴史をみよーーーー!!!」と心の中で叫ぶことにしますね。
桃江ちゃんも時に、「そのままの自分」と「世間」のはざまで揺らいでいるようにみえます。自分にフィットする価値観を見つけて性生活を楽しめたら最高ですね!
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(文/fumumu編集部・iroha広報)- 1
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