同性カップルの遺産相続 どうすれば実現できる?

同性パートナーへの遺産相続の方法について、遺言の書き方などを弁護士が解説します。

カップル
(yuhirao/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

同性カップルの方で、将来、自分の死後に、預貯金や一緒に暮らしていた自宅等の財産をパートナーに相続させて、パートナーに安心した生活を送ってもらいたいと考える人も多いでしょう。

しかし、現実的には法律でどこまでできるのでしょうか? どうすれば実現できるのか、同性カップルの相続について解説します。


■相続人とは

相続とは、ある人が死亡したときにその人の財産を、特定の人が引き継ぐことをいいます。財産には、プラスの財産や権利のみならず、マイナスの債務や義務も含みます。

財産を引き継ぐ特定の人のうち、民法上の相続人、つまり何も手続きをしなくても、亡くなった人の財産を自動的に引き継ぐ人のことを法定相続人といいます。

法定相続人=民法で決められた相続人
①亡くなった人の配偶者
②亡くなった人の子供
③亡くなった人の親
④亡くなった人の兄弟姉妹


同性パートナーの場合、上記①~④のいずれにも該当しませんので、残念ながら、相続人に当たりません。

そのため、亡くなったパートナーの財産を自動的に引き継ぐことはできません。

財産をパートナーに引き継がせるには、遺言を作成しておく必要があります。

遺言で決めておくことができること
①財産引継ぎに関する事項
⇒預貯金・株式や自宅はパートナーに贈る等
②生命保険の受取人の指定
③葬儀をする時の喪主の指定、遺骨やお墓の管理 など


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■遺言の作り方

遺言には、いくつかの種類があります。

①自筆証書遺言

・遺言の全文を遺言者本人が自筆で書く。

※パソコンでの印字は×(無効)。


・必ず日付と署名も自筆で書く。


・必ず捺印も必要。


・訂正する場合には、訂正する箇所を示し、これを訂正した旨を書き込み署名し、かつ訂正した箇所に印を押さないと無効。

※訂正する場合には、全文を書き直したほうが安全です。


・遺言者が亡くなった後に、家庭裁判所で検認を受けなければならない。

※検認とは、「相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続」です(裁判所HPより引用)。


※なお、検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。


②公正証書遺言


・証人ふたり以上の立会いが必要。


・遺言者が遺言内容を公証人に口頭で伝える。


・公証人が、遺言者の口述を筆記し、遺言者及び証人に読み聞かせる。


・公証人役場に支払う手数料が必要。


・家庭裁判所での検認手続きは不要。


もし、遺言書を作成する場合は、内容や方式面について専門家に確認することがベターです。最寄りの弁護士にご相談ください。

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(文/fumumu編集部・森 伸恵(弁護士)

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