「性的指向」を考える 同性を性的に意識した私の体験談

アダルト業界の作り手側で働く女・るいが、無限に広がる「性」の世界…ファンタジーを通して見る「リアルな性」の話を、本音でお伝えしていきます。

本音で性の話がしたい

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■「性的指向」はグラデーション

皆さんは「性的指向」という言葉をご存知でしょうか。これは「人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうかを示す概念」であり、「対象が異性に向かう場合を異性愛、同性に向かう場合を同性愛、男女両方に向かう場合を両性愛」であると一般的には言われています。

ここで「恋愛」と「性愛」が分けられているように、恋愛の指向と性愛の指向は必ずしも同じとは限りません。「恋愛的に好きになるのは同性だけど、性的に興奮するのは異性」という方もいらっしゃると思います。

さらに言うならば、性的指向は前述の定義のように「同性愛」「異性愛」とはっきりと分けられるものではなく、もっとグラデーションのようなものだと思っています。

私で言うと、「恋愛的に好きになるのは異性90%同性10%、性的に好きになるのは異性70%同性30%」というのが今の自分なりの感覚です。「今の」と書いたのは、このパーセンテージも常に変化していくものだと思っているからです。


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■はじめて同性を好きになった中1

そうは言っても、同性との恋愛・性愛経験がない方にとっては、正直ピンとこない部分も多いと思います。この「わからない」という感覚が一部の人にとっては恐怖であり、忌避の対象となってしまう原因であるようにも思われます。

実際、私も小学生のときまではそうでした。一般的な恋愛ドラマやバラエティを見て育った私は、男女のロマンティックな恋愛が普通だと思い込み、「ホモ」「オネェ」などは嘲笑の対象、といった感覚が身についてしまっていました。

それが、中学で女子校に入学した際、「本当にタイプだ!」という女の子に出会ってしまったのです。半分一目惚れに近い感覚でした。その子を見るたびにドキドキして、上手く話せなくて…という状態だったことを今でも思い出します。

もちろん「女子校」という環境も全く影響がないとは言えませんが、それでも「好きになるのに性別は関係ないのだな」と身をもって体感したのは自分にとっての分岐点でした。

周りでも近くの男子校の生徒と付き合う子、同級生の女の子同士で付き合う子、恋愛には全く興味がない子…と様々いたのがとてもいい経験だったと思います。


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■はじめて同性に性的興奮を抱いた中3

そして実は、私の性体験は、男性より女性のほうが先なのです。

昔から性に興味津々だった私は、中学でも友達とよくエッチな話をしていました。女子校ということもあり、男子の目を気にせず本音で乗ってくれる子が多かったのも楽しい要素の一つでした。

中学3年生の修学旅行のとき、よく話している4人組で夜集まっていつものようにエッチな話をしようということになりました。その途中でくすぐりあいが始まったのですが、エッチな話をしていたせいか、一人の子が少し喘ぎ声のような声を出しました。その声があまりに私の性的なタイプに突き刺さったのです。

気付いた時には、私はその子に対して本気でくすぐりをしていました。耳に息を吹きかけたり舐めたりもしていました。どうしても彼女の喘ぎ声が聞きたくてたまらなかったのです。ある程度の理性はあり、お互い処女なことも分かっていたので、それ以上のことはしなかったのですが、はじめて「性的興奮」というものを知った瞬間でした。

翌朝目が覚めたときには罪悪感でいっぱいになり、普通に話せなくなってしまったことも含めて、一生の思い出に残る体験になりました。今でも彼女とは交流があり、若かったね~という笑い話になっていますが、「性的なことをするのは異性とのみ」「性的に興奮する人と好きな人は一緒」という自分の中での常識が一気に崩れたとても印象深い夜です。


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■「自分だけが変じゃない」と思えた大2

ここまでは女子校での体験を書いてきましたが、私は共学の大学に進学してからも、「性的指向は異性だけ」とはならず、「好きになった人が好きだし、男性女性問わず性的に興奮することはある」というスタンスのままで現在に至ります。

印象に残る経験もありました。大学2年生の時、女友達の家で2人で宅飲みをしていて、お互いに好きな男の子のことを話すなどして盛り上がっていました。そのまま泊まることになり、一緒のベッドで寝ていたのですが、向こうのほうから身体を触ってきて、エッチに持ち込まれたのです。私も嫌ではなかった上、気持ちよかったので、そのままある程度のところまでエッチな行為をしました。

おそらく彼女も、学生時代の私のように、何か性的に興奮する要素があり、私のことを求めてきてくれたのだと思います。「好きな人がいたとしても、別に恋愛の指向が同性でなくても、性的な指向が同性に向くことがあるのは自分だけじゃないんだ」と思えた体験でした。


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■自分の性的指向を決めつけないで

もちろん、色々な考え方の方がいて、色々な指向の方がいらっしゃると思うのですが、「正しいのはこう」「自分の指向はこう」と決めつけてしまうのは非常に勿体ないな、と思います。

私は今でも、自分の性的指向は簡単に変わると思っていますし、恋愛や性的興奮に関するキャパシティも、今が最高だと思っていても常に最高を更新する可能性があると思っています。そのときに、「こんなことがあるわけない」とシャットアウトしてしまったら、それ以上の世界は見えず、体験することさえ一生できなくなってしまうのです。

様々な分野で言われることですが、性に関しても、わからないからと忌避せずに、わからないからこそワクワクしながら可能性を感じて知識や見聞を広めていただけたら、おのずと新しい楽しみが増えてくるのではないでしょうか。

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(文/fumumu編集部・るい

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