■谷間製造は8割が男性
部屋に入ると、ラブドールに変身するまでの説明を受けます。
・その人に似合った色をチョイスしてカラコンなどを装着する「眼球入れ替え」
・似合う衣装とウィッグを着用したら、お披露目して「命名の儀式」
・お披露目されたら、出荷の準備。ダンボールで「梱包・開封の儀式」
・2着の衣装で製品写真撮影
・ひとつの部屋で自撮りタイムを思う存分楽しめる「ひとり遊び」
・メイクを落として「人間界への誘い」
スケジュールを聞き、さっそく着用していた服を脱ぎ去りパンイチに。
このゴリゴリボディを「躰型製造師(谷間製造)」の乙原碧さんのゴッドハンドで女性の柔らかボディに近づけます。
その前に、ブラ選び。「筋肉あるけど、細いでしょ? だからアンダー75くらいかな~って思うけど、アンダー80のブラをつけてもキツキツ」。やはり、男性と女性では骨格が違うため、男性のブラ選びは難しいとか。いくつかのブラを試着し、アンダー85のピンクブラに決定!
そもそも、男性客は多いのか? と気になりますが…スタートしてからもうすぐ2年になる「人間ラブドール製造所」では6割が男性客。その中で、谷間製造は8割が男性というから驚き。
その後、「製造液」でゴリゴリボディをトリートメント(お肌に優しいボディオイルです)。
ラブドールは左右対称ですが、人間の体は絶対に左右非対称。加工は「極力しない」をコンセプトにしているため、限られた時間で手の先からコリをほぐし、整えてくれます。
「なんで、こんなに胸筋あるん!?」「ここまでのムキムキちゃんは、はじめて」と言われ、嬉しそうなマッチョボーイ。筋肉おっぱいを柔らかくほぐします。入念なマッサージの結果…「え、プニプニ! 全然違う。嬉し恥ずかしですね」と感激。
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■新レイヤ「自分を愛せる体験にしたい」
ボディが完成したら、いよいよ「眼球入れ替え」。これだけでも印象が変わる。恐るべしカラコン効果。
そのままメイクへ。女装本を出されているほど、その道では有名な山田さん。東京出張の際は「山田さんにメイクしてもらえるんだったら!」と来る方も多いそう。
「肌キレイ。きめ細かいですよね」と褒められるマッチョボーイを横目に、「人間ラブドール製造所」をはじめるきっかけを伺いました。
新:もともと2人ともラブドールという存在に憧れていたというのがあって、当初、一緒にやっていたメイクさんが、『人間にこういうメイクをしてみたいな…』ってポロっと言って。その時に『あ、じゃあやろう!』と。
でも、ラブドールのメイクだけをしてもウケないし、ラブドールはオーナーさんがいてこそ輝くものなので、オーナーの設定のもとに愛されていくという体験を足したいなって。
かわいく撮られるだけじゃなくて、所持する人がいる、愛されるシチュエーションがあるという組み合わせで、自分を愛せる体験にしたい、と試行錯誤して今の形になりました。
――「人形」は、世界中にたくさんあふれていますが、なぜ「ラブドール」だったのでしょう。
新:ラブドールってセクシャルの対象でもありますけど、女性にとって憧れのボディと顔なんですよ。
乙原:お人形って、世の中に溢れるほどあって、アニメのキャラクターがフィギュアになっているものも多いですよね。それも、ものすごくキレイだけど非現実的なバランスですよね。リカちゃん人形も、人間にしたら立てないっていうバランス。
でもたとえば、『オリエント工業』のラブドールって、実際の女性から型取りしていることもあって本当にリアル。だから、私達が近づけるお人形がラブドールなんです。
新:ラブドールは人間に近づこうとしている。だけど、私たちはラブドールに近づこう、っていう。
――「逆転変身専門店」の「逆転」とは、そういう意味だったんですね!
新:それ以外にも色々なものが逆転しています。たとえば、通常はお客様の要望を聞いてこそ! だと思うんですけど、3日前まで住所も知らせないし、要望や理想に耳は傾けるけど、それを叶えるかはこちらで判断するし(笑)。サービス自体が逆転なんですよね。
ただ、この子を愛するためにやっているので、リクエストは聞けなくても、私達がドールに奉仕する感じ。それがすごく楽しいんですよ。性別も年齢も関係ないし。
乙原:それなりの金額を振り込んで、3日前まで連絡なかったらドキドキするよね(笑)。だからその分、私たちは、顔を出して活動しております!
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