ジャニー喜多川氏から性被害を受けた男性が会見で告白 言いふらした上司、スナックのママが叫んだ言葉
会見でマスクを取り実名を公表した男性は、勇気を出して上司に性被害を告白してからのおぞましい出来事を告白しました。
SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)の創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害問題を告発する「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が15日、会見を開きました。
これまで仮名で訴えつづけてきた男性が、この会見から実名で訴えることを伝え、自身の身近で起きたおぞましい状況を告白しました。
■会見で急遽、実名公表
かつて子役から活動していた川井研一郎さん(55歳)は、「ジャニーズ事務所には所属していないが、性被害を受けていた」という立場であり、これまでジャニー喜多川の性加害問題を報じた番組に、顔を出さず仮名で証言していました。
広く遠くまで多くの人に被害を伝えたい、届けたいとの思いで取材を受けていたものの、「いつまでもマスクして仮名で…というのは、本当に届いているのかなというのは頭の片隅にあった」と会見でマスクを取り、実名で話すと決めた経緯を語りました。
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■性被害を社内で共有した上司
ある会社の営業職を務めていた川井さん。フラッシュバックに襲われ、病気に苦しまされているなか、勤務先の上司にジャニー喜多川氏から性加害を受けていたこと、フラッシュバックに見舞われていること、迷惑をかけて申し訳ない…との謝罪とともに性被害を告白。
その後上司がとった行動は、本社に連絡し、性被害の告白を社内で共有。「あいつは、ジャニーにやられている」という言葉が社内で蔓延しているという状況に陥ったといいます。
「性被害の告白です。それを言いふらす会社を、どのように思われますか? ただでさえ勇気のいる告白で、本来なら誰にも知られたくない事実を、迷惑をかけてしまう前に報告した私がおかしいのでしょうか」。
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■行きつけのスナックで…「これを二次被害というのだろう」
さらに「行きつけの飲み屋でも性被害をネタに酒を飲んでいるようです」と、会社の集まりで参加したスナックでの出来事を告白。
突然、スナックのママは「ジャニーズから金ふんだくって、みんなで酒飲もうぜー!」と大声で叫んだといい、「一瞬なにが起こったのかわからず、呆然としてしまいました」と振り返ります。
社長や社員たちは、社内だけではなく社外にまで言いふらしていることについて「人権など考えたこともないのでしょうけど、これほど酷い対応にあうと思っておらず、これを二次被害というのだろうと身にしみた瞬間でもありました」と語りました。
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■「私のような被害者も多くいるはず」
その後、会社からは「もう仕事は無理だろ? 辞めたほうがいいよ」と告げられ、退職に追い込まれた川井さん。
「信頼を持って話した結果は、病気が重くなり、居場所もなくなったということだけです」「このような事例があるからこそ、被害者はなにも言えなくなります」と伝え、現在は警察に相談し、プライバシーの侵害・侮辱罪が成立する事案のため、会社を訴える予定であることを明かしました。
性加害・性被害報道がでるたび日本では、SNSを中心に「なぜその時に言わなかった」「なぜ今更」と、被害者側を責め立てるセカンドレイプが散見されています。
川井さんは「言えるわけがありません。怖いからです。言ったらこうなってしまう、私のような被害者も多くいるはずです」と延べ、最後に「被害に苦しんでいる方を追い込まないでください」と、声を詰まらせながらも強く訴えました。
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■執筆者プロフィール
長谷川 瞳:「fumumu」編集長。ラジオ番組を主に、放送作家歴20年超え。そのほか、テレビ局の派遣社員・広告代理店での勤務も経験し、ウェブ業界へ。
かつてのストレス発散法は新橋かゴールデン街へ繰り出していましたが、今や愛犬(ポメラニアン)の“犬吸い”により、精神が保たれています。
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(文/fumumu編集部・長谷川 瞳)