二宮和也・北川景子に学ぶ、離れていても届く思いの正体

実在のシベリア抑留者・山本幡男を二宮和也さんが演じる映画『ラーゲリより愛を込めて』が12月9日公開。

『ラーゲリより愛を込めて』ロゴ

第ニ次世界大戦後、ソ連によって、多くの日本人が抑留されました。その数、およそ60万人。零下40度にもおよぶ地で、強制労働を強いられ、命を落としたのは約6万人ともいわれています。

そんな中、シベリアの強制収容所で、絶望する抑留者たちを励まし続けた1人の日本人、山本幡男がいました。

この山本を二宮和也さん、妻・モジミを北川景子さんが演じる『ラーゲリより愛を込めて』が、12月9日から公開。再会を願い続けた夫婦の絆を軸に、「愛しい」という思いの正体を探ってみましょう。


■ロシア語に長けた実在の人物が

二宮和也

本作のタイトルにある「ラーゲリ」とは、第二次大戦後のソ連における「強制収容所」のことで、元はロシア語で「キャンプ」の意味を持つそうです。

二宮和也さん演じる主人公の山本幡男は、1908年、島根県に生まれた実在の人物。旧制東京外国語大学でロシア語を学び、ロシア語に堪能だったため、南満州鉄道調査部や、ハルビン特務機関で、ロシア語の翻訳を手がけていたとされています。


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■説く「生きる希望」

ところが、そうした活動が、ソ連に対するスパイ行為と見なされ、第二次大戦後の1945年、ソ連の強制収容所に送られてしまいます。

収容所では、わずかな食糧しか与えられず、氷点下の中、重労働をさせられる抑留者たち。息絶える者、失望する者、自ら命を絶とうとする者。永遠に続くかのように思われる地獄の中、山本は、日本にいる妻や4人の子どもたちのもとへ帰れると信じ、「生きる希望を捨ててはいけない」と、周囲の人々を励まし続けたといいます。


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■侵害を受けた土は、返礼に花を

ところで、インドの詩人・タゴールの作品に、こんな一節があります。

「土は侵害をうけて、その返礼に彼女の花をさし出す。」

二宮さん扮する山本は、まさにこの「土」、そのもののような人。どんなに虐げられても、理不尽な仕打ちを受けても、山本は、「人間らしく生きること」を選びます。

暴力がはびこる環境で、自らの意志を貫く強さを持ち合わせながらも、自分を「侵害」する者に対して恨みを漏らしたりもしません。むしろ俳句を詠むなどして、仲間を思い、故郷を思い、遠いロシアで、常に「日本」という希望の花を咲かせていたように見えるのです。


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■「愛しい」思いはいつか

北川景子

そのせいか、劇中では、吹雪の舞うロシアでの惨たる場面と、陽光を浴びた木の葉が揺れる日本の場面といった、対照的なシーンが交差しますが、全編には不思議な安堵感が漂います。

それはおそらく、「土」は地中でつながっており、目に見えない思いも、いつか花となって咲く日が来ることが、万物の法則だからかもしれません。

その証拠として象徴的に現れるのが、アメリカの民謡『愛しのクレメンタイン』。

ロシアの山本も、日本にいるモジミや子どもたちも、この歌を口ずさむ場面が何度か登場します。元は亡くなった「クレメンタイン」という女性を愛しむ歌だといわれていますが、「愛しい」思いは、時を超えて、地中を抜けて、届くようになっているのでしょう。

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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ

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