デビュー女優の減少について ~AV新法の現場続報~:アダルト業界関係者の喋り場

アダルト業界の作り手側で働く女・るいが、無限に広がる「性」の世界…ファンタジーを通して見る「リアルな性」の話を、本音でお伝えしていきます。

■悪用できる法律

しかも最悪のケースとして想定されるのが、「この理論を悪用する女優さんがいる」可能性です。「とりあえず撮影してお金をもらえれば、発売前に取り下げればいいや」というのが理論上可能となってしまいます。

もっと最悪のケースを想定するのならば、こういった考えを女の子たちにばらまき、「出演しても取り下げれば、世にも出ないしお金だけもらえるよ」と裏でそそのかす人物が現れる可能性があります。そしてその人物たちは紹介した女の子たちのギャラや紹介料で稼いでいく…というビジネスモデルまで成立させられる可能性をはらんでいます。

以上の可能性を踏まえると、メーカー側は安易に女の子のデビュー作を撮影できないようになりました。今まで以上に女の子に対する見極めが必要になったのです。少しでも精神的に不安定なところがあったり、バレを気にしていたり…といったところがあると、メーカーは足踏みせざるを得ない状況なのです。


関連記事:ひろゆき氏、AV新法を問題視 「まともなAV産業は縮小」と懸念

■女の子側のハードル

一方、女の子側のハードルとしてはまず、「こんなに騒がれているAV業界に今行くべきなのか…?」という疑念があることは間違いないでしょう。どんなに興味があった子でも、この騒動で「やっぱりいけないことなのかな…」と尻込みしてしまうのは当然の反応です。

そして、次にあげられるのが、「ギャラの受け取りまでの時間が長くなった」ということです。新法により、契約から一か月経たなければ撮影はできない、ということになりました。

今まではプロダクションに所属→メーカーに面接→撮影メーカー決定→予定が合うところで撮影、という流れだったところが、撮影メーカー決定後にさらに1か月を要するようになったのです。しかも今回の法律設定でプロダクションやメーカーも慎重になっているので、撮影メーカー決定以前の時間も前より長くなっています。場合によってはプロダクション所属からギャラ受け取りまで半年ほどかかる可能性もでてきたのです。

女優さんの中には、もちろん「お金を稼ぎたい」という気持ちでいらっしゃる方もいます。そういった方には、このスケジュールはなかなかに厳しいものであることが想像がつきます。


■「AV女優」は一つの職業選択肢

以上のように、メーカー・女優さん両方面から、今回の新法によりデビューのハードルが上がりました。しかも相互作用により、おもに金銭面などで悪循環が生じていく可能性が大いにあります。「AV女優に本当になりたい」と思っている人も、メーカーがハードルを上げざるを得ないことにより諦める可能性が出てくるかもしれません。

「そもそも取り下げるような人を見抜けないのが悪い」「お金目的ならやらせるべきではない」という考え方も理解はできますが、どのような職業でお金を得るかは、法にふれていない限りそれぞれの自由であるべきです。しかもその影響で、適正AVより安全性の低い同人AVや風俗業界に流れざるを得ない人が出てくるならば、AV新法による悪影響と思わざるを得ません。

様々な理由で「AV女優になりたい」と思っている人がいることは、そんなに悪いことでしょうか?業界関係者として、また一度はAV女優に憧れた者として、一つの職業選択肢として他の職業と同等の扱いを受けられるような方向で、女優さんの地位向上のための法律になっていくことを願うばかりです。

・合わせて読みたい→ひろゆき氏、AV新法を問題視 「まともなAV産業は縮小」と懸念

(文/fumumu編集部・るい

ohora公式 “貼るジェルネイル”スターターキット【Amazonでチェック】

この記事の画像(1枚)