スティーヴ・カレル『ビューティフル・ボーイ』(2018年):「イケオジ」作品のススメ
オーバー40男優「イケオジ」のススメ:スティーヴ・カレル。即興が生むシリアス。
■薬物中毒の息子を見守る父
そんなカレルの出演作は、ほとんどが笑いたい時にうってつけの良作ばかりですが、あえておすすめしたいのは、2018年の『ビューティフル・ボーイ』です。
本作は、作家デヴィッド・シェフの実体験をもとに、薬物依存症になったデヴィッドの息子ニックと、それを支える父の姿を映し出すシリアスな作品。
ニック役を演じるティモシー・シャラメの名演はさることながら、父として悩み、息子を見守るデヴィッド役に扮するカレルの表情は、実に繊細です。劇団「セカンド・シティ」は、即興劇を得意としているそうですが、おそらくカレルは、ここで、瞬時に役になりきり、感情をコントロールする術を学んだのかもしれません。
カレルの重厚な演技は、見守る者の無力さ、もどかしさを観客に訴えます。それでも、どこかに光があるように思わせるのは、カレルが本来持つユニークさが、垣間見えるからなのでしょう。
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(文/fumumu編集部・尾藤 もあ)- 1
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