DV加害者はパートナーを探し続ける…SNSに「行方不明」と投稿するケースも

DVから逃げるための鉄則は「絶対に一人で抱え込まずに相談して!」弁護士が解説します。

ドメスティック・バイオレンス
(weareadventurers/istock/Thinkstock/写真はイメージです)

「行方不明の○○さんを探しています。ご存知の方はこちらまで!」

SNSなどでこんな投稿を目にします。もちろん、本当に行方不明になった人を探すのがほとんどでしょう。

しかし中には、DVによって逃げた被害者を探すため、SNSの高い拡散力を悪用する人がいます。


■DVとは?

DVとは、英語の「Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス)」の略で、一般的には配偶者や恋人、元恋人など親密な関係だった人からふるわれる身体的・精神的・性的暴力のこと。

昨年1年間に全国の警察に寄せらたDVの相談件数は、72,455件にのぼっています。

法的には、DV被害に対応するために、平成13年に「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する法律(通称DV防止法))」が制定されました。

配偶者からの暴力により、身の危険が迫っている場合や、身の危険を脅かすような脅迫を受けている場合等には、警察や配偶者暴力相談支援センターなどの公的機関による保護を受けることができます。

裁判所に申し立てをすれば、被害者や親族に対するつきまといの禁止や、勤務先・自宅付近の徘徊を禁止する命令等を出してもらえる場合もあります。


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■DV被害者・加害者の思考パターン

DVの被害者には、人が良く、気の優しい人が多いです。よくあるのは、相手に怒られないように、一生懸命言われる通りにしていたのに、言われたことを「するな!」と逆に怒られます。

何をしたら相手が怒るのかわからなくなり、さらに「お前が悪いから怒るんだ」と責められ、だんだんと相手に言われるがままになってしまうのです。

一方、DVの加害者のほとんどは、自分が加害者である自覚がありません。それまで自分のわがままや要求がすべて通ってきたので、自分の行動の何が悪いのかまったく理解できない人が多いのです。

平気で暴言を吐いたり、暴力をふるったり、被害者が逃げ出した後には無自覚にストーカー行為を行ったりします。

このような関係性ができてしまっている中で、被害者が自ら加害者に立ち向かうのは非常に困難であり、危険です。


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■DV被害を受けたらどうすべき?

DV被害に合うと「自分が悪いんだ」とひとりで抱え込みがちです。少しでもおかしいなと思ったら、まずは身近な人に相談してみましょう。思い込みから解放されることが大切です。

暴力を受けている場合、何よりも、身の安全を確保することを優先してください。

各都道府県の配偶者暴力相談支援センターや、市町村、警察署、福祉事務所の窓口に相談をすることで、公益法人、NPO法人などによって運営されている一時保護施設(シェルター)に一時的に保護してもらえることもあります。

証拠となるけがの写真や診断書なども残しておきましょう。暴言についても、録音や、日々継続的に記録をつけていれば、証拠になりえます。


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■情報には注意!

DV加害者はあの手この手で被害者を探し出そうとしてきます。

SNSを使用して、「妻に謝りたい」「借りていたお金を返したい」とメッセージを配偶者の友人や同僚に送ります。善意から教えてもらった居場所の住所や勤務先で待ち伏せる例もあります。

また、SNSに行きつけの喫茶店の写真や、使用路線の遅延状況などを上げてしまうと、地域などが特定されてしまう危険性があることも、注意が必要です。

SNSでの呼びかけなどは一例ですが、婚姻関係にあれば、相手方は住民票を請求できるので、居場所を知られないためには、できるだけ住民票は移さないのが得策です。

もっとも、やむを得ず住民票を移さなくてはならない事情がある場合は、配偶者による住民票の閲覧・交付請求を制限する手続きをしておきましょう。

実際、住民基本台帳などを閲覧できないようにする措置は、平成29年度だけで、4,500件あまり取られています。

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(文/松下 真由美(弁護士)

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