現代アジアに伝わる「死後婚」 外国人が巻き込まれた場合はどうなる?

アジア各国に伝わる「冥婚」のお話

赤い封筒
(Jangnhut/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

アジア全域に様々な形で伝承されている「死後婚」。

中国語では「冥婚」と呼ばれ、『屍憶』をはじめとするホラー映画でも頻繁に取り上げられる題材となっています。

しかし、現代の価値観からするとオカルト的な要素も強い為「本当にまだやってる人がいるの?」と疑問を持つ方も多いはず。今回は、台湾に伝わる「冥婚」について、台湾在住歴十数年の筆者がレポートします。


■「冥婚」とは

「冥婚」とは、生きた者と死んだ者が行う結婚のこと。陰婚や鬼婚など様々な呼び名がありますが、基本的にはあの世とこの世で縁を結ぶ、というものだと思って間違いないでしょう。古くは古代エジプトやギリシア神話でも登場する概念で、日本でも青森や山形に「ムカサリ絵馬」という風習が伝わっています。

儀式の方法は様々ですが、中国、台湾、香港ではお年玉やお祝いに使う「紅包」という封筒に現金、そして死者の髪や生前その人が大切にしていた物を入れ道端に放置。それを拾った異性が結婚相手になる決まりになっています。


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■台湾での「冥婚」

現代の台湾で、「冥婚」は「伝承の一つ」としてとらえられています。どちらかと言うと日本と同じく「やってる人マジでいるの?」という感覚が一般的ですが、「冥婚を知らない」と断言する人はほぼいないといっても過言ではないでしょう。

殆どの過程では小さいころから「紅包が落ちていても拾っては駄目」と教えられるためです。台湾は風水やお参りが身近にあることもあり、こういった「禁忌」も多数存在します。明確に何かが起こるわけではありませんが、なんとなくやめておこう…という行動、言動が広く存在するのです。

例えば「旧暦の8月は水辺に近づかない」「夜、他人の肩を後ろから叩かない」などちょっとしたことで、「赤い封筒を拾わない」もその中の一つといったところでしょう。日本で言う「夜爪を切ると親の死に目に会えない」と同じような感覚ですね。


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■現世での結婚もOK?

この封筒を道端に置くのは死者の家族。家族は誰かが封筒を披露まで影を潜めて見守っており、異性がそれに触った瞬間登場することが決まっています。そして「うちの子と結婚しておくれ」と頼み込むまでが一連の流れで、もし遭遇してしまった場合断るのは非常に困難と言われています。

家族もせっかく引っ掛かった獲物を逃したくはないためでしょう。彼らは「これも何かの縁だから」と信仰に関する話を延々と語り、なんとかして婚姻を成立させようとするのです。

ですが、死者との結婚が成立したからといって、生者との結婚ができないという法律はありません。気にしなければあの世とこの世で重婚をしても問題ないのですが、ホラー映画なら怖い目に遭うお決まりの展開ですし、心がモヤモヤしてしまいそうです。

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