◆これまでの記事はコチラから!
「娼婦」に憧れつつも、売春や風俗に踏み込む勇気が持てないまま、18歳の誕生日に電話したのはバニーガールのお店。
高校中退でも「18歳ならOK」ということで雇ってもらえたそのお店で、私の歪んだ男性への価値観に変化が訪れます。
■バニーガールの日々
バニーガールのお店は、網タイツにレオタード、頭にウサギの耳付きのカチューシャをセットしたら、お尻にふわふわの尻尾をスナップボタンでパチンと止めるだけでOK。
8センチ以上のヒール着用と赤リップ、と靴と口紅だけは細い指定があったけれど、基本的にそれ以外は自由で、何よりお姉さんたちがそれそれに個性的でとても素敵でした。
モデルのように高身長のスレンダーなお姉さんや、色白モチモチ肌の柔らかそうなおっぱいのグラマー姉さん、ダンサーのように鍛え抜かれた肉体に太陽をたっぷり浴びてこんがり灼けた肌のカッコいいお姉さんたち。年齢は22歳から32歳くらいまで、全部で8名くらいの女性が在籍していて、全員がとても優しかったです。
自分の体重で型押しされた網タイツの跡が、足の裏に深く刻み込まれるのは痛かったけど、それ以外は何のストレスもなくのびのび働いていました。
関連記事:cocoのLGBT迷子中:「セックスには相当な価値がある」と気づいた18歳
■一目惚れされる
そんなある日、やってきたひとり客の男性。バニーガールのお店は、基本的に静かに飲まれるお客様がほとんどで、接待に使われることも多いのですが、ある日40代後半くらいの男性が、ふらりとひとりでやってきました。
常連さんらしい「高橋」さんという男性は、席に着くとバーボンを頼み、お姉さんたちとにこやかに談笑していました。バニーガールは基本的にウエイトレス業務とカウンター越しの接客なので、私も彼のカウンター前で接客することになりました。
お姉さんに紹介され、目の前に立った私を見て、彼はいたく私のことを気に入ってくれたようでした。彼は、地元でとても有名なお茶屋の跡取りであること、長く恋人がいないことなど自分の音を話してくれました。
世間話程度に、私の両親の話や学歴など聞かれ、私は正直に、両親は健在だが、私自身は高校中退してひとり暮らしをしていること、その生活費を稼ぐためにバニーガールの仕事をしていることなど話しました。
強引に口説いて来るわけでもなく、かといって、特に何か強い印象に残るわけでもなく、私にとっては「その他、大勢のお客様」でしかありませんでした。
■釣書をもらう
しかし翌日、高橋さんは開店早々お店にやってきました。これは、一目惚れしたバニーガールができた場合、男性がよくとるありがちな行動なので、店内ではお姉さんたちが「一体だれのことを気に入ったのかしら」とソワソワしていました。
私がそ高橋さんの席に呼ばれると、お姉さんたちが好奇の目で私たちの言動に注目しているのがわかりました。
私がカウンターで接客を始めると、高橋さんは白い封筒をそっと差し出してきました。そして、「あなたと結婚したい。釣書を持ってきたので、受け取ってほしい」と言ったのでした。
生まれて初めて耳にする「釣書」という単語。訳も分からず、とりあえず封筒を開けてみると、その男性の生年月日や学歴、家族構成などが書かれていました。
意味がわからず、戸惑っていると、見かねたお姉さんが「やあね〜高橋さんったら、昨日の今日で結婚なんて。いくら何でも気が早すぎよ〜」と笑いながら、うまく私と彼の間に入って、具体的に話が進まないように、うまくフォローしてくれました。
それまで、男性に対して「性欲むき出しで群がってきて気持ち悪い」としか思っていませんでしたが、高橋さんのように、まずは「結婚してください」から入って来る男性がいる、ということは衝撃でした。
そこから、私の男性への価値観は少しづつ変わり始めたのです。
・合わせて読みたい→男子に聞いた! 女子に着て欲しい「ハロウィンコスプレ」5選
(文/fumumu編集部・coco)